3’-デオキシ-4’-チオヌクレオシドを標的分子とし、同誘導体のラセミ体について合成を検討した。アリルアルコールの水酸基をTBDPS基で保護し、エポキシ化、エポキシ環の開環反応およびビニル基の導入を経て、ホモアリルアルコール誘導体を合成した。さらに文献既知の方法により、水酸基をBoc化した後、ヨードカーボネート体へ導いた。ヨードカルボネート体は光延反応により4位の立体反転とアニシル基の導入を行い、チオエポキシドへの変換とTBDPS基の除去により環化前駆体へ導いた。当初より計画していた光延反応を応用した縮環を伴ったテトラヒドロチオフェン環形成を検討したが、目的とする反応は全く進行しなかった。次にメシル体を経由した分子内SN2反応での環化を検討した。対応するメシル体を調整後、このメシル体を、DMF中、フッ化セシウム、酢酸と処理しSN2反応に付したところ、目的とする環化反応が進行し、標的分子の糖部となる3-デオキシ-4-チオリボース誘導体を67%の収率で得ることに成功した。得られた誘導体は、Pummerer反応を経て対応する1-アセトキシ体へ導き、グリコシル化反応の検討を行った。導入する核酸塩基としてチミンを用いてフォルブルッゲン法によるグリコシル化反応を行ったところ、β:α=4:1のアノマー混合物として1-(3-デオキシ-4-チオリボシル)チミン誘導体が81%の収率で得られた。さらに脱保護を経て、標的分子のひとつである1-(3-デオキシ-4-チオリボシル)チミンの合成を達成した。
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