研究課題/領域番号 |
24590151
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研究機関 | 鈴鹿医療科学大学 |
研究代表者 |
田口 博明 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 准教授 (20549068)
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キーワード | 医薬品化学 |
研究概要 |
該当年度は水分子を模倣した構造を持ったリン酸ジエステル誘導体の合成と生化学的評価を行ない,リン酸ジエステル-Aβ複合体に用いる候補鍵中間体の選定を行った。水分子を模倣した構造を有するリン酸ジエステル誘導体は、ヒドロキシ基(水分子を模倣)が触媒抗体の活性中心近傍に配置されるように、リン酸ジエステルとヒドロキシ基間の距離を考慮して分子設計を行った。適切な空間配置を探索するため、リンカー部分に炭素数の異なるアミノアルコールや多価アルコールを用い検討を行った。リジンを模倣したジフェニルリン酸部分の合成はOleksyszyn反応を用い構築した。 これら合成された中間体は必要に応じてカラムクロマトグラフィーで精製を行い、NMR、質量分析にてその構造確認を行った。最終生成物は、HPLCを用いジアステレオマーを分離することに成功した。最終生成物の純度はHPLCにて検討し、構造確認は高分解能質量分析で行った。 昨年度及び該当年度で得られた化合物についてトリプシンを用い,その加水分解阻害活性を測定することにより化合物群の評価を行った。最終化合物の量が少なかったため,X線構造解析のかわりに分子軌道計算を用い構造解析を行なった。生化学的評価の結果と構造解析の結果より,総合的に候補化合物の選定を行った。さらにトリプシンと化合物のドッキングモデルを作成しその構造を精査した。これらの結果より,次年度合成予定のリン酸ジエステル-Aβ複合体に用いるリン酸ジエステル誘導体を選定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リン酸ジエステル-Aβ複合体に用いるリン酸ジエステル誘導体の選定が終了した。しかしながら,ペプチドに組み込むため,リン酸ジエステル誘導体の合成方法の変更が必要となっている。現在新しい合成ルートにて,誘導体の合成を行っている。リン酸ジエステル-Aβ複合体の合成に必要な保護中間体の合成が現在進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後はリン酸ジエステル誘導体をペプチドに組み込むため,現在進行中の保護リン酸ジエステル誘導体の合成を完遂させる。 合成された保護リン酸ジエステル誘導体を用い,リン酸ジエステル-Aβ複合体の合成を行う。得られたリン酸ジエステル-Aβ複合体について,その構造を質量分析で確認し,純度はHPLCにて決定する。リン酸ジエステル-Aβ複合体の評価はELISA法を用い,ペプチド部分の立体構造(特異性)が保持されていることを,抗アミロイドβ抗体により確認する。さらに,リン酸ジエステル部分の機能が保持されているか確認するため,電気泳動と免疫染色を行い,リン酸ジエステル-Aβ複合体が抗アミロイドβ抗体と共有結合を形成しているかを調べる。さらに,円二色性分散計を用い二次構造の変化を調べる。さらにチオフラビン染色や電気泳動により本化合物の凝集能について調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成26年度の研究計画ではペプチド合成および合成した化合物の性質の検討を行う予定である。それらの実験を行う試薬を購入するため,当該年度の予算を繰り越した。 ペプチド合成に必要な試薬(保護アミノ酸,縮合試薬,有機溶媒など),器具(フラスコ,HPLCカラムなど)など。 合成された誘導体を評価するためのに必要な試薬(抗体、有機溶媒など)、消耗品(ピペットチップ、マイクロプレートなど)など。
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