研究課題
アルツハイマー病発症の原因分子の一つとしてアミロイドベータペプチドの関与が考えられており,脳内アミロイドベータペプチドを低下させることによりアルツハイマー病治療薬の開発が行われている。本研究は,臨床応用を視野に入れたアミロイドベータペプチドを加水分解する抗体を誘導するための触媒抗体誘導試薬を合成する事を目的としている。課題最終年度の該当年度は,リン酸ジフェニルエステル誘導体を含むアミロイドベータペプチドの合成を中心に実験を進めた。昨年度までの実験において,リン酸ジフェニルエステル誘導体の合成,構造解析および生化学的評価を行い,リン酸ジエステル部分の構造最適化を行った。これら結果より最も評価の高かったイソペプチドリン酸ジエステル誘導体を選び,アミロイドベータペプチド1-40およびにアミロイドベータペプチド17-27への導入を試みた。アミロイドベータペプチド1-40は固相ペプチド合成とHPLC精製により得,緩衝液中GMBSでLys側鎖を修飾したのち,Cys残基を含むイソペプチドリン酸ジフェニルエステルを導入することにより目的物を得た。一方,アミロイドベータペプチド17-27への導入は,固相ペプチド合成により得られた保護アミロイドベータペプチド17-27とイソペプチドリン酸ジフェニルエステルを縮合した後,脱保護,HPLC精製により目的物を得ることに成功した。次年度以降の研究では,得られたイソペプチドリン酸ジエステルを含むアミロイドベータペプチド誘導体がアミロイドベータペプチドを加水分解する抗体を誘導することができるかを検討するため,マウスを用いた免疫を行い,誘導されたポリクローナル抗体のアミロイドベータペプチドに対する特異的な結合や加水分解能を生化学的手法により検討し,さらにモノクローナル抗体の作成を行っていく予定である。
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Peptides 2014
巻: 33 ページ: 未定
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