ヒドロキサム酸タイプのヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDI)は、血中半減期が極めて短く、そのことが広範な固形がん等への適用を妨げている。この欠点を克服するため、ヒドロキサム酸部位をPEG化ペプチドにより保護し、さらにその分子を安定ミセル化したPEG-peptide-SAHAミセル製剤を合成した。この分子を固相法により合成した後にミセル化し、分子間SS結合で安定化し、平均直径40nmのナノ粒子とした。このミセルは高い血中安定性を示すことが示唆された。さらに、ヒト結直腸がん細胞HCT116の増殖抑制活性を有し、48時間後のその効果は、同濃度の未修飾SAHAのそれに比べて高かった。
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