• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

機能性食品から肝臓内中性脂肪低減を機序とする新規抗糖尿病作用成分の探索

研究課題

研究課題/領域番号 24590153
研究種目

基盤研究(C)

研究機関近畿大学

研究代表者

二宮 清文  近畿大学, 薬学総合研究所, 講師 (10434862)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード糖尿病 / 脂肪肝 / Shorea roxburghii / Sedum sarmentosum
研究概要

本研究課題は,肝臓への中性脂肪の蓄積を抑制または代謝を促進することにより,肝細胞における糖の利用の亢進を図ったものである.本助成金による平成24年度の研究実績は,先ず,研究計画調書に記載したとおり,主に当研究室にて保有している世界各地の機能性食品および薬用食物の抽出エキスライブラリーを使用してスクリーニング試験を行った.即ち,HepG2 細胞を使用した oleic acid-albumin 誘発脂肪蓄積抑制活性を検討するとともに,既に肝細胞内に蓄積した細胞内中性脂肪の低減作用について検討を行った.本実験から,タイ産のフタバガキ科植物 Shorea roxburghii 樹皮から得た MeOH 抽出エキスに有意な脂肪蓄積約性および脂肪代謝促進活性を見い出した.そこで本 MeOH 抽出エキスに含まれる活性成分を特定すべく含有成分についても同実験を実施した.その結果,S. roxburghii の樹皮に主成分のひとつとして含有されている (-)-hopeaphenol や (+)-isohopeaphenol などが 3 μM 以上の濃度で有意な脂肪蓄積抑制を示すことを明らかにした.これら S. roxburghii 樹皮より見い出した活性成分の多くは,ポリフェノールの一種であるスチルベンオリゴマーであった.この他,中国において肝疾患の治療に利用されているベンケイソウ科植物 Sedum sarmentosum より,肝細胞への脂肪蓄積抑制活性成分として,flavonol 配糖体成分などを明らかにした.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的は,肝臓中の中性脂肪を低減することにより,糖尿病における糖代謝を改善する物質を見い出し,新規の抗糖尿病医薬シーズを提示することである.平成24年度の研究から,in vitro での実験ではあるが,肝細胞中への中性脂肪蓄積を抑制する成分および既に肝細胞内に蓄積している中性脂肪の減少を亢進する成分が複数見い出された.これらをひとつの候補物質として,糖代謝に対する作用を検討しつつ,さらにスクリーニング試験を継続して有望な素材の探索を行っていく予定である.従って,現在までの当該研究の達成度としては,3年計画の初年度であることを勘案して,おおむね順調に進展していると判断できる.

今後の研究の推進方策

次年度での研究では,平成24年度に実施した抽出エキスライブラリーのスクリーニング試験により見い出した候補素材について,肝細胞内の中性脂肪低減作用を指標として,薬理活性成分の探索研究を継続して実施する.また,平成24年度の研究において見い出された肝細胞内中性脂肪低減活性を有する化合物の糖代謝に対する作用を検討するとともに,in vivo での評価のため候補化合物の合成を試みる予定である.併せて in vitro での活性が確認されている化合物については,発現タンパク質の変動およびタンパク質リン酸化(細胞内シグナルトランスダクション)などに与える影響を検討して、薬理活性物質の作用機序解析を行う.

次年度の研究費の使用計画

次年度の研究費は主に物品費に使用することを計画している.本研究において使用する汎用機器・装置類は既に整備されているため,それら汎用機器・装置類の故障などによる買い換えを要する場合を除き,消耗品である試薬やプラスチック器具,抗体,実験動物の購入などに使用する.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Flavonol glycosides with lipid accumulation inhibitory activity from Sedum sarmentosum.2012

    • 著者名/発表者名
      Morikawa T., Ninomiya K. Zhang Y., Yamada T., Nakamura S., Matsuda H., Muraoka O., Hayakawa T., Yoshikawa M.
    • 雑誌名

      Phytochemistry Letters

      巻: 5 ページ: 53-58

    • DOI

      10.1016/j.phytol.2011.07.012

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Anti-hyperlipidemic constituents from the bark of Shorea roxburghii.2012

    • 著者名/発表者名
      Morikawa T., Chaipech S., Matsuda H., Hamao M., Umeda Y., Sato H., Tamura H., Ninomiya K., Yoshikawa M., Pongpiriyadacha Y., Hayakawa T., Muraoka O.
    • 雑誌名

      Journal of Natural Medicines

      巻: 66 ページ: 516-524

    • DOI

      10.1007/s11418-011-0619-6

    • 査読あり
  • [学会発表] フタバガキ科 Shorea roxburghii 樹皮由来抗糖尿病活性成分.2012

    • 著者名/発表者名
      二宮清文,奥村尚道,八木亮平,Saowanee Chaipech,吉川雅之,村岡 修,早川堯夫,森川敏生
    • 学会等名
      第19回天然薬物の開発と応用シンポジウム
    • 発表場所
      大阪大学(大阪府)
    • 年月日
      20121101-20121102
  • [学会発表] タイ天然薬物 Shorea roxburghii 樹皮由来オリゴスチルベノイドおよびジヒドロイソクマリンのメタボリックシンドローム予防作用.2012

    • 著者名/発表者名
      森川敏生,Saowanee Chaipech,二宮清文,三宅荘八郎,奥村尚道,八木亮平,松田久司,濱尾 誠,梅田洋平,佐藤宏樹,田村晴佳,紺井 悠,吉川雅之,Yutana Pongpiriyadacha,村岡 修
    • 学会等名
      第54回天然有機化合物討論会
    • 発表場所
      東京農業大学(東京都)
    • 年月日
      20120918-20120920
  • [学会発表] タイ天然薬物 Shorea roxburghii の機能性成分(7)-含有スチルベン成分の脂肪代謝促進作用-.2012

    • 著者名/発表者名
      二宮清文,奥村尚道,Saowanee Chaipech,吉川雅之,村岡 修,早川堯夫,森川敏生
    • 学会等名
      日本生薬学会第59回年会
    • 発表場所
      かずさアカデミアパーク(千葉県)
    • 年月日
      20120917-20120918
  • [図書] 薬用食品の開発IIー薬用・有用植物の機能性食品素材への応用ー第12章 ローズヒップに含有される内蔵脂肪蓄積低減作用成分2012

    • 著者名/発表者名
      二宮清文(著)、吉川雅之、村岡 修(監修)
    • 総ページ数
      11
    • 出版者
      シーエムシー出版

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi