研究概要 |
研究代表者は、プラスミンのペプチド性基質の構造を基にプラスミン阻害剤の構造活性相関を明らかにした。基本構造はwarheadとしてCN基を有し、阻害活性はmicroMレベルではあるが、選択性のある化合物を得た。この化合物とプラスミンとの複合体の結合予想図も含めた構造活性相関を報告した(Teno, N., et al. Bioorg. Med. Chem. Lett., 2011, 21, 6305-6309.)。更に、標的としてのプラスミンと相同性が高いプラズマカリクレインとサブサイトの相違点をCADDのモデリングにより検討し最近報告した(Gohda, K., et al. J. Enzyme Inhib. Med. Chem., 2012, 27, 571-577.)。 前者の報告を基にプラスミン阻害剤としては初の非塩基性P1部を持つ阻害剤への予備試験を行なった。Pheの芳香環がプラスミンのS2サイトに浅く相互作用していることが示されたため、Pheのパラ位に芳香環や疎水性脂肪族側鎖を導入し、今までにない阻害活性を有するペプチド性プラスミン阻害へと導いた。ここで開発したビルディングブロック(P3とP2残基)は、P1部である非塩基性を有する非天然アミノ酸合成後、P3とP2のビルディングブロックとして使用できる。新規の非塩基性を有する非天然型アミノ酸の合成は、有用な合成中間体を経て3種合成し、いずれも先のP3、P2のビルディングブロックと縮合後、阻害活性を測定した。結果は予想に反し、阻害活性は認められなかった。その要因は色々考えられ、それらを含めた結果は昨年J. Peptide Sci.,2012, 18, 620-625.に報告した。
|