研究課題
ペプチド性プラスミン阻害剤のデザインをしていく中で、一つの特徴としてニトリル基がwarheadとして機能することが分かった。この機能を利用し、P1部の検討を行った。プラスミン阻害剤のP1部は塩基性官能基を有するものが多く、それは認識機構に重要である一方で膜の透過性やその官能基がもたらす有害作用の引き金にもなる。そのため酵素の対応部であるS1サイトの構成基からP1部が必ずしも塩基性である必要はないと判断し、塩基性以外の基の検討を始めた。しかしながら、S1部の入口の大きさや角度等に障害があり非塩基性P1部を持つペプチド性阻害剤には至っていない。これと同時に非ペプチド性プラスミン阻害剤の開発では、ある骨格から適材適所に酵素のサブサイトと相互作用を有する官能基を配置するscaffoldの探索に取りかかった。その結果、scaffoldとしてピロロピリミジン骨格上に、スペーサーとしてヒダントインを持つP4部とニトリルwarheadを有するP1部からなる新規のプラスミン阻害剤を開発した。また、配座を固定し自由度の少ない化合物デザインに結びつけるため、scaffoldをピロロピリミジンからベンズイミダゾールに変更した。これら両scaffoldを持つそれぞれの化合物は、同等の阻害活性を有し、CADDによる酵素-阻害剤複合体の検証からピロロピリミジンとベンズイミダゾールは、我々が開発した化合物中で生物学的等価体として機能していることがわかった。これらの知見は、ベンズイミダゾール部を構築しながら配座を固定し自由度の少ない化合物デザインに結びつけられている。
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Bioorganic & Medicinal Chemistry
巻: in press ページ: in press
巻: 22 ページ: 2339–2352
10.1016/j.bmc.2014.02.002