研究概要 |
病原性ウイルスの一つであるヒトパラインフルエンザウイルス(hPIV)は、かぜ症候群の原因ウイルスであり、乳幼児の初期感染において気管支炎や肺炎などの症状を引き起こすことが知られている。hPIV-1シアリダーゼ阻害活性の発現には、2,3-不飽和シアル酸誘導体の4,5位置換基が阻害活性に大きな影響を与えることが明らかとなっている。2004年、2,3-不飽和シアル酸誘導体の5位アセチル基が他のアシル基で置換されたBCX-2798およびBCX-2855がhPIV1,3HN糖蛋白質に高い親和性を示すことが報告された。この知見を基に、これまで申請者が見出した活性化合物4-O-エチル(I)、4-O-チオカルボニルメチル(II)、4-O-チオフェニルプロパルギルー2,3-不飽和シアル酸誘導体(III)をリード化合物とし、さらに高い阻害活性が期待される5位の置換基をBCX型に変えたハイブリッド型の新規化合物の合成を行ってきた。今回、すでに申請者が開発したN-Boc法 (Tetrahedron Lett., 48, 7431-7435(2007)) を用いてN-イソプロパノイル-4-O-チオフェニルプロパルギルー2,3-不飽和シアル酸誘導体(III)の合成を行った。現在、合成された化合物III誘導体についてhPIV-1及び3阻害活性活性を検討中である。III誘導体は、hPIV-1型のみならずhPIV-3型にも有効であるという知見を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回、申請者が開発したN-Boc法 (Tetrahedron Lett., 48, 7431-7435(2007)) を用いてN-イソプロパノイル-4-O-チオフェニルプロパルギルー2,3-不飽和シアル酸誘導体(III)の合成を行いそれらの合成に成功した。現在、合成された化合物III誘導体についてhPIV-1及び3阻害活性を検討中である。III誘導体は、hPIV-1型のみならずhPIV-3型にも有効であるという知見を得ている。
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