研究課題
基盤研究(C)
シリカ粒子の長期大量暴露はじん肺を引き起こす危険性がある一方で、そのナノ粒子は新たな化学工業製品や医薬品の材料として期待されている。したがって、粒子径等の物性の異なるシリカ粒子が人体に及ぼす影響についての評価系の構築は急務である。本研究では、シリカ粒子の免疫毒性を評価する一環として、シリカ粒子の物性(粒子径、粒子数、および濃度)がマウス免疫系に与える影響についてin vitroおよびin vivo実験により解析した。粒子径3 μm~10 μm のシリカ粒子に比べ30 nm~1 μm粒子径のシリカ粒子に対してマウス骨髄由来マクロファージは極めて強い炎症応答(インフラマソーム活性化およびIL-1β産生)を示した。さらにシリカ粒子径の違いにより肺炎の重症度が異なるか否かを検討するために粒子径30 nmあるいは3 μmのシリカ粒子をC57BL/6マウス気管内投与し、肺胞洗浄液中サイトカイン測定および肺病理解析を行った結果、3 μm よりも30 nmシリカ投与により極めて激しい肺炎が起きることが明らかとなった。以上の結果から、粒子径1 μm以下のシリカ粒子は起炎性が高いことが示唆される。本研究成果は2012年12月に神戸で開催された第41回日本免疫学会総会にて発表し、現在論文投稿中である。
2: おおむね順調に進展している
当初の研究計画は、H24年度に炎症作用の強いシリカ粒子を用いてその受容体のスクリーニングを開始することであったが、予想に反して粒子径の小さなナノ粒子が強力な炎症作用を有することが判明したため、そのメカニズム解析に時間を要した。そのため、スクリーニング開始には至っていないが、その代わりにシリカの粒子径の違いが炎症作用に与える影響について詳細に解析し、その成果を学会発表し、さらに論文投稿中であることから、おおむね順調に進展していると評価できる。
これまでにシリカ粒子径の違いが炎症作用に与える影響について詳細に解析し、現在論文投稿中であるため、当面はその論文が受理されるために必要な実験および論文作製等を行う。論文が受理された時点で、シリカ受容体のスクリーニングに取りかかる。
該当なし。
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Journal of Immunology
巻: 189 ページ: 5903-5911
10.4049/jimmunol.1201940
http://www.idac.tohoku.ac.jp/ja/activities/info/news/20121221/index.html