研究課題
本研究では、薬剤耐性HIV出現を回避し既存の抗HIV薬と作用機序が異なる新しい抗HIV戦略を構築するため、HIVの弱点と考えるHIV複製に必須で保存されたウイルスタンパク質の翻訳後修飾に着目した。HIVにおいて構造タンパク質Gagやアクセサリータンパク質Nefがミリストイル化を受け、これらの翻訳後修飾を受けない変異体はウイルス複製能力が消失もしくは著しい低下を引き起こすことが明らかになっている。このミリストイル化を触媒する酵素は宿主性のNミリストイルトランスフェラーゼ(NMT)である。NMTにはNMT1とNMT2の2種のアイソフォームが存在するが、本研究ではHIV複製に密接に関わることが知られているNMT1に着目した。NMT1と相互作用するタンパク質を探索した結果、NMT1がhnRNPA2/B1とRNAを介さずに結合することを見いだした。興味深いことに、NMT1はHIV RNAの発現レベルの上昇に関与し、一方hnRNPA2/B1はHIV RNAの発現レベルの低下に関与していることが明らかになった。NMTはHIV由来タンパク質(Gagタンパク質とNef)のNミリストイル化触媒酵素として、HIV複製に必須の宿主性因子として機能しているだけでなく、HIV RNAの発現レベルの上昇にも関与していることが明らかになった。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (5件)
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