研究実績の概要 |
インフルエンザウイルス感染において、細胞変性(CPE)の顕著な細胞(NCI-H292細胞)とCPEが顕著でない細胞(A549細胞)を比較して、感染初期の細胞内遺伝子の発現変動を解析した。両細胞においてウイルス産生は起こるものの、A549細胞ではウイルスの侵入を感知し、抗ウイルス状態の発動が起こっていること、NCI-H292細胞ではウイルス侵入の感知機構が作動せず、抗ウイルス作用を発動しないことが示された。 細菌Psudomonas fluorescences PfO1株由来高マンノース糖鎖結合性レクチンPFLはウイルス粒子表面のHAタンパク質に結合し、ウイルスの細胞内への侵入を阻害することにより、抗ウイルス作用を呈する。細胞へのPFL添加の影響を調べるため、PFL添加後の細胞内遺伝子の発現変動を解析した。 さらに、PFLと遺伝子配列相同性を持つPsudomonas mandelli由来レクチン(PML)とPsudomonas taiwaneses由来レクチン(PTL)を大腸菌で発現させ、精製した。PMLはPFLと96%のアミノ酸相同性を、PTLはPFLと72%のアミノ酸相同性を持つ。これらレクチンの抗インフルエンザ活性を調べた。50%感染阻害濃度としてPTL ED50=45nM, PML ED50=20nM, PFL ED50=11.7nMの値を得た。 また、PFLはネコ免疫不全ウイルス(FIV)に対しても感染阻害効果を示すことが分かった。
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