研究課題
腎臓については、マウス近位尿細管の部位(S1、S2、S3)特異的な不死化細胞株を入手し、Cd輸送の基礎的解析を開始した。カップ培養系を用いてS1, S2, S3細胞を培養する系を確立し、管腔(原尿)側および血管側からのCdの取り込み効率を測定した。その結果、S1, S2細胞に比べてS3細胞へのCd2+取り込み効率が高いことが分かった。一方、Cdの排泄効率も調べた結果、S1, S2細胞では血管側に比べて管腔側への排泄効率が高かった。S3細胞は管腔(原尿)側および血管側への排泄効率は差がなく、S1, S2細胞よりも血管側への排泄効率が高かった。また、recombinant マウスメタロチオネイン(MT)タンパク質を大腸菌で作製する系を立ち上げた。研究期間中に、Cd-MTをカップ培養系に添加してS1, S2, S3細胞への取り込みおよび排泄実験を実施することは達成できなかったため、本研究の成果から今後の研究に活用していきたい。昨年度までにヒト神経芽細胞腫由来のSH-SY5Y細胞をIL-6に曝露すると、ZIP14の発現上昇とZnT10の発現低下がSH-SY5Y細胞でのMn蓄積を増加させる可能性を明らかにした。そこで、IL-6以外の炎症性サイトカインであるTNF-α、および、IL-1βによる金属輸送体発現とMn蓄積への影響について解析した。その結果、TNF-αによりZIP8, ZIP14が、IL-1βによりZIP8が発現誘導された。一方、Mnの排泄に関与するZnT10, SPCA1の発現がTNF-α, IL-1βによって低下することが分かった。以上の結果より、IL-6と同様に、TNF-αとIL-1βもMn輸送体の発現を変化させ、Mn蓄積を増加させることが明らかになった。
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