研究概要 |
平成25年度の研究実績として、糖化反応物による生活習慣病発症機構解明の基盤となる、糖化反応物曝露により応答する遺伝子の解析を行った。 DHPを曝露したヒト肝がん細胞 HepG2 細胞より抽出したRNAを用いて、マイクロアレイ解析を行い、発現変動を示した遺伝子を検出した。このうち発現変動が著しく顕著であった遺伝子群は、抗酸化ストレス遺伝子GCLC、GCLM、HO-1であることが明らかとなった。これら抗酸化ストレス遺伝子は、DHP誘導体、DHP-1(2,3-Dihydro-5,6-dimethylpyrazine), DHP-2(2,3-Dihydro-2,5,6-trimethylpyrazine), DHP-3(3-Hydro-2,2,5,6-tetramethylpyrazine)のうち、DHP-3が最も強い転写誘導活性を持つことがreal time RT-PCR法により明らかになった。さらにwestern解析の結果、DHP曝露により抗酸化ストレス転写因子Nrf2の細胞内蓄積が抗酸化ストレス遺伝子転写誘導に先んじて起こることが明らかになった。加えて、Nrf2結合配列である酸化ストレス応答配列 (ARE) 依存的にDHP転写誘導が起こることがルシフェラーゼレポーターアッセイにより明らかになった。 これらの結果は、DHPによる酸化ストレスがNrf2-ARE経路を活性化したことを示している。
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