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2012 年度 実施状況報告書

食物アレルゲンの物理的処理に伴う抗原性の変化の解析並びに高感度検出法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 24590171
研究種目

基盤研究(C)

研究機関国立医薬品食品衛生研究所

研究代表者

手島 玲子  国立医薬品食品衛生研究所, 代謝生化学部, 部長 (50132882)

研究分担者 中村 亮介  国立医薬品食品衛生研究所, 代謝生化学部, 主任研究官 (50333357)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード食物アレルゲン / 小麦グルテン / 酸加水分解 / 経皮感作
研究概要

食物アレルゲンの物理的処理に伴う抗原性の変化の解析並びに高感度検出法の開発に関し,以下の3項目の検討を行った.
(1)食物アレルゲンとして、小麦グルテンを用いて、物理的処理として、塩酸、水酸化ナトリウムを用いる加水分解処理を行った。タンパク質の分子量変化をサイズ排除クロマトグラフィー及びSDS-PAGEで確認した。タンパク質の感作性の変化については、BALB/cマウスを用いる皮膚感作性試験により解析した。その結果、0.1N HCl で100℃,30分処理で、分子量30K-50Kのスミア状のタンパク質の泳動パターンが得られ、特異的IgE抗体の産生、アナフィラキシー反応惹起後の体温低下が引き起こされた。一方、0.1N HCl ,100℃,9時間処理では、分子量は顕著に低下し、アナフィラキシー症状発現はみられなかった。以上、小麦グルテンの経皮感作能は、酸加水分解により一旦増大し、その後分解の進行とともに減弱することが示された。なお、アルカリ(0.1NNaCl)による100℃,30分加水分解処理では、経皮感作の上昇は観察されなかった。 2) 加水分解小麦(HWP)によるマウス皮膚感作のメカニズム解析を行った。HWPと未処理のグルテンとの感作の程度についての比較から、HWPの感作性は、未処理グルテンより高いこと、また、HWP経皮感作群で継時的に血清中TSLP濃度の上昇がみられ、HWPではTh2型のT細胞の活性化が強く起きていることが示された。なお、モルモットを用いた経皮感作試験においても、HWPの感作性は、グルテンよりも高いことが示された。 3) HWPの物性に関する研究として、HWPとグルテンのトリプシン消化ペプチドについての多変量解析から、HWP特徴的なペプチド候補として10本のペプチドピークを抽出することができた。今後、これらのペプチドを用いたHWPの抗原決定基の解析を継続する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

小麦グルテンの酸加水分解の処理時間による感作性の変化を明確に捉えることができた。動物による経皮感作による即時型アレルギーモデルとして、BALB/cマウス並びにモルモットを用いる感作モデルを確立した。グルテン及び酸加水分解グルテンのトリプシン消化ペプチドについての多変量解析から、酸加水分解グルテンに特徴的なペプチド候補の抽出に成功した。

今後の研究の推進方策

今後、(i)平成24年度に抽出された酸加水分解グルテン特異的ペプチドを用いた抗原決定基解析の継続、(ii)ヒト型化マウスを用いる交差反応性の解析、(iii)経皮感作のメカニズム解析のためのランゲルハンス細胞等の培養細胞を用いるin vitroモデル系の開発、(iv)小麦以外のコラーゲン等の種々のアレルゲンタンパク質の物理的処理に伴う抗原性の変化の解析、を行う。

次年度の研究費の使用計画

前年度からの繰り越し分については、上記の(iii)経皮感作のメカニズム解析のためのランゲルハンス細胞等の培養細胞を用いるin vitroモデル系の開発、並びに、(iv)小麦以外のコラーゲン等の種々のアレルゲンタンパク質の物理的処理に伴う抗原性の変化の解析を行うための費用に用いる。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 4件)

  • [雑誌論文] 加水分解小麦によるアレルギーについて2013

    • 著者名/発表者名
      手島 玲子
    • 雑誌名

      ファルマシア

      巻: 49 ページ: 116-120

  • [雑誌論文] アレルゲン特異IgE抗体の新しい測定方法 4.EXiLE法2013

    • 著者名/発表者名
      中村亮介、手島玲子
    • 雑誌名

      アレルギー・免疫

      巻: 20 ページ: 62-73

  • [雑誌論文] Sensitization to acid-hydrolyzed wheat protein by transdermal administration to BALB/c mice, and comparison with gluten.2012

    • 著者名/発表者名
      Adachi R., Nakamura R., Sakai S., Fukutomi Y., Teshima R.
    • 雑誌名

      Allergy

      巻: 67 ページ: 1392-1399

    • DOI

      10.1111/all.12018

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Evaluation of allergenicity of acid-hydrolyzed wheat protein using an in vitro elicitation test2012

    • 著者名/発表者名
      Nakamura R., Nakamura R., Adachi R., Itgaki Y., Fukutomi Y., Teshima R.
    • 雑誌名

      Int. Arch. Allergy Immunol.

      巻: 160 ページ: 259-264

    • DOI

      10.1159/000341671

    • 査読あり
  • [学会発表] 酸加水分解小麦のIgE結合性および惹起能の比較検討

    • 著者名/発表者名
      中村里香、中村亮介、安達玲子、板垣康治、福富友馬、手島玲子
    • 学会等名
      第24回日本アレルギー学会春季臨床大会
    • 発表場所
      大阪市
  • [学会発表] 酸加水分解小麦含有石鹸で感作された患者IgEのin vitro活性化試験による交差反応性の評価

    • 著者名/発表者名
      中村亮介、中村里香、安達玲子、板垣康治、福富友馬、手島玲子
    • 学会等名
      第24回日本アレルギー学会春季臨床大会
    • 発表場所
      大阪市
  • [学会発表] 食物アレルゲンの話

    • 著者名/発表者名
      手島玲子
    • 学会等名
      第49回小児アレルギー学会
    • 発表場所
      大阪市
    • 招待講演
  • [学会発表] 酸加水分解小麦含有石鹸に感作された患者血清IgE反応性の解析

    • 著者名/発表者名
      中村里香、中村亮介、酒井信夫、安達玲子、板垣康治、福富友馬、手島玲子
    • 学会等名
      第19回日本免疫毒性学会学術大会
    • 発表場所
      東京都港区
  • [学会発表] 新規食品並びにアレルギー物質の規格と検査について

    • 著者名/発表者名
      手島玲子
    • 学会等名
      第104回日本食品衛生学会学術講演会
    • 発表場所
      岡山市
    • 招待講演
  • [学会発表] Regulation of food containing allergic ingredients in Japan

    • 著者名/発表者名
      Teshima R.
    • 学会等名
      5th International Fresenius Conference
    • 発表場所
      ドイツ、マインツ市
    • 招待講演
  • [学会発表] EXiLE法による加水分解小麦のアレルゲン性における分子サイズの影響の解析

    • 著者名/発表者名
      中村亮介、中村里香、酒井信夫、安達玲子、福富友馬、手島玲子
    • 学会等名
      第85回日本生化学会
    • 発表場所
      福岡市
  • [学会発表] 化粧品に含まれる食物アレルゲン

    • 著者名/発表者名
      手島玲子
    • 学会等名
      日本薬学会第133年会
    • 発表場所
      横浜市
    • 招待講演

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公開日: 2014-07-24  

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