研究課題/領域番号 |
24590181
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
橋本 征也 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 教授 (90228429)
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研究分担者 |
能澤 孝 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (00180737)
石田 和也 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 助教 (90550509)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 腎排泄性薬剤 / 消化管吸収機構 / トランスポーター |
研究概要 |
医薬品を適正に使用するにあたっては、薬物血中濃度と薬効・副作用の関係を定量化するとともに、薬物動態変動機構を明らかにし、患者個々に投与設計を行うことが必要である。腎排泄性薬剤の腎クリアランスは、クレアチニンクリアランスを指標として簡便に計算可能であり、一般的に静脈内投与後の血中濃度予測性も比較的良好である。しかし申請者は、経口免疫抑制薬ミゾリビンの体内動態に極めて大きな個体差があることを明らかにし、その主要因は消化管吸収率(バイオアベイラビリティ)の個体差であることを解明した。そして申請者は、「経口投与が可能な少なくとも一部の腎排泄性薬剤は、消化管吸収過程が体内動態変動の主要因となっており、消化管吸収に係わるトランスポーター蛋白の発現・機能変動が薬物吸収の個体差に関与する」との作業仮説を立て、「経口投与可能な腎排泄性薬剤の消化管吸収機構と変動性評価」を進展させる。平成24年度は、concentravie nucleoside transporter (CNT) 1および2を強制発現させた細胞を用いて取り込み実験を行い、ミゾリビンは低親和性ながらもCNT1とCNT2の両方によって取り込まれることが明らかとなった。また、健常成人を対象とした臨床試験を実施し、ミゾリビンの消化管吸収率に及ぼす食塩摂取の影響を検討した。その結果、ミゾリビンの消化管吸収率は食塩摂取によって有意に増加し、CNT1およびCNT2の活性/発現変動によって消化管吸収が変化する可能性があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究成果を原著論文に纏め公表するとともに、学会発表を行ったことから、本年度の研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
1. ビソプロロールの臨床薬物動態変動性評価:2005 年に公表した循環器疾患患者40名におけるビソプロロールの血中濃度データを再解析したところ、経口クリアランス(CL/F)と見かけの分布容積(V/F)の間に強い正の相関があり、バイオアベイラビリティ(F)にかなりの個体間変動があるとの知見を得ている。本研究では新たに約40 例の患者を募り、薬物服用前・後の2点の血中濃度を測定し、母集団薬物動態解析を行う。F に及ぼす食事や併用薬の影響、あるいは加齢や心機能・腎機能の影響などを評価する。 2. ミゾリビンの小腸吸収機構解析:これまでにATP Binding Cassette(ABC)トランスポーターが、ミゾリビンの消化管吸収障壁として機能しているとの知見を得ていることから、赤血球や培養腸上皮LS180 細胞の膜ゴーストを用いてミゾリビンの細胞外排出機構を解析する。さらに、種々のABC トランスポーター発現膜ベジクルを用いて、ミゾリビンの細胞外排出輸送に対する各蛋白の寄与を評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の研究はおおむね順調に進展したが、26円の次年度使用額が生じた。次年度の研究費は、遺伝子診断、薬物定量、および培養細胞等を用いた基礎実験を行うための消耗品の購入に充てる予定である。
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