抗認知症薬の新たな投与経路としての経鼻投与のヒトへの臨床応用の可能性を探求するべく、動物(ラット)を対象にした基礎実験を実施した。ラット(WKY)をランダムにドネぺジル塩酸塩低用量、高用量、蒸留水(対照群)のいずれかを経口あるいは経鼻で投与する6群に割り付け、投与後1時間の時点でラットの血中、脳組織(海馬、線条体)におけるコリンエステレース(ChE)活性の比較を行った。線条体においては経鼻投与は経口投与と比較して有意にChE活性の低下が観察されたが、海馬では低下傾向にとどまった。本結果を基に、投与する薬剤の溶媒を再考し、2種類の行動実験により投与経路の空間記憶に与える影響を検討する。
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