研究実績の概要 |
昨年度、一部報告した認可CCR5阻害剤マラビロック(MVC)に対して高度耐性を付与するEnv領域のアミノ酸変異が、各種抗Env中和抗体に対していずれも高度感受性をもたらすことを明らかに出来た(Journal of General Virology, 2014)。また、これら各種変異のMVC耐性度および中和抗体感受性度に関する詳細な解析が完了した(現在投稿中)。これらの成果は、本研究目的で記述した、一方の抗HIV剤に対する耐性変異が、他方の抗HIV剤(中和抗体等も含む)の感受性に寄与する新たな組み合わせの拡充に繋がった。本目的の基軸である「多剤in vitro耐性誘導」に関しては、最終年度である本年にフラスコ培養から12-48ウェルプレート培養に変更することで、多剤の濃度組み合わせの割合を同時に多種類展開し、至適な濃度増量を効率的に導き出すシステムに改良および樹立することに成功した。そして、構築した本システムにより、先に触れた「CCR5阻害剤と中和抗体」に加えて、「新規侵入阻害剤とCCR5阻害剤」および「新規侵入阻害剤と中和抗体」の組み合わせで「多剤in vitro耐性誘導」を行い、耐性獲得の遅延等をはじめとする有用な知見が得られ、各種スコアの解析が完了した(現在投稿準備中)。本「多剤in vitro耐性誘導」で用いるために同時に進めていた「リアルタイムウイルスライブラリーの拡充」に関しても予定通り進めることが出来た。
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