研究課題/領域番号 |
24590202
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
井上 勝央 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (50315892)
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研究分担者 |
湯浅 博昭 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (20191471)
太田 欣哉 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (90448704)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | トランスポーター / ENBT1 / 核酸塩基 / プリン塩基 / de novo |
研究概要 |
本年度は、新規核酸塩基トランスポーター分子の探索・同定とその機能解析を行った。肝臓を含む様々な主要組織に高発現している遺伝子について、細胞膜貫通領域を4つ以上有する蛋白質をコードしているものを遺伝子データベースより抽出・選択し、それら遺伝子の哺乳類発現系を構築し、核酸塩基の輸送について検討した。その輸送スクリーニングの結果、adenineに対して輸送活性を有する新規遺伝子を見出すことに成功した。後述の解析により明らかとなった輸送特性を踏まえ、このトランスポーターをENBT1 (equilibrative nucleobase transporter 1)と命名した。ヒトENBT1は、adenineをはじめとするプリン塩基に特異的な輸送活性を示し、ピリミジン塩基及びプリン・ピリミジンのヌクレオシド類に対して輸送活性を示さなかった。また、ENBT1を介する輸送はナトリウムやプロトンに非依存的であり、促進拡散型の輸送様式が示唆された。ヒト及びラットENBT1 mRNAの発現は、ほとんどの臓器で認められものの、肝臓や肺で顕著に高く、それらのヒト組織におけるENBT1蛋白質の発現は、それぞれ肝実質細胞、肺胞上皮細胞であることが示唆された。分化させたMDCKII細胞におけるGFP-ヒトENBT1の細胞内局在の評価から、ENBT1が基底膜に局在することが示唆された。以上の結果より、ENBT1は、肝臓では活発なde novoヌクレオチド合成を経て生成したプリン核酸塩基を血中への排出する一方、肺などの他の組織においては、血中の核酸塩基の利用のために細胞内へ取り込み等の役割を担っていることが考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の仮説を実証する上、その分子基盤の解明につながる項目については、新規核酸塩基トランスポーターの同定及びその機能特性、その組織分布などに関する研究成果を得ることができたことから、当初の研究計画に沿った形で研究が進行していると思われる。一方で、臓器レベルでの検討については、その検討条件や評価方法の妥当性を再確認している状況であるため、当初の予定より遅れている。しかし、次年度(平成25年度)に予定していた組織免疫学的検討や他のin vitroで行う項目を前倒しで行うなど研究全体としては一定の成果が得られているので、総合的に研究計画はおおむね順調であると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後も申請した研究計画に則って研究を推進する。しかし、組織レベルでの検討については、当初の研究計画から遅れがあるため、今後、全体の研究計画を完遂できるように関連の検討項目を重点的に検討するなど、柔軟に対応していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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