研究課題/領域番号 |
24590203
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
平 裕一郎 帝京平成大学, 薬学部, 助教 (20581953)
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研究分担者 |
石田 功 帝京平成大学, 薬学部, 教授 (00415556)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 抗腫瘍薬 / DDS / 嫌気性菌 |
研究概要 |
1. 種々のEGFR陽性がん細胞に対するin vivoでの抗腫瘍効果の解析 (1)EGFR陽性の乳がん由来細胞MDA-MB-468のin vivoでの抗腫瘍効果 EGFR陽性の乳がん由来細胞に対する抗EGFR抗体/緑膿菌外毒素A融合蛋白質を発現する組換えビフィズス菌の抗腫瘍効果を調べるために、EGFR陽性であるMDA-MB-468乳がん細胞移植マウスに対して、本組換えビフィズス菌を尾静注により投与し抗腫瘍効果を調べ、88.1%阻害という高い抗腫瘍効果を見出した。 (2)EGFR陽性の結腸がん由来細胞HT-29のin vivoでの抗腫瘍効果 EGFR陽性の結腸がん由来細胞に対する抗EGFR抗体/緑膿菌外毒素A融合蛋白質を発現する組換えビフィズス菌の抗腫瘍効果を調べるために、EGFR陽性であるHT-29結腸がん細胞移植マウスに対して、本組換えビフィズス菌を尾静注により投与し抗腫瘍効果を調べたが、抗腫瘍効果は見出すことはできなかった。これらの結果は、皮膚がん細胞であるA431細胞での高い抗腫瘍効果を得られた結果と合わせて考えると、本細胞療法が単一の臓器ではなく、複数の臓器由来の癌細胞に対して抗腫瘍効果を示しており、今後の開発の上で重要な結果である。また、癌腫によっては菌の分布などにより、抗腫瘍効果見出せない可能性があることも示している。 2. 抗EGFR抗体/緑膿菌外毒素A融合蛋白質の分子、細胞レベルにおける作用機序の解析 抗EGFR抗体/緑膿菌外毒素A融合タンパク質のビフィズス菌での分泌を確認した。また抗EGFR抗体/緑膿菌外毒素A融合タンパク質を大腸菌で発現、精製して分子、細胞レベルの作用機序を調べ、それぞれ、EGFR抗体/緑膿菌外毒素A融合蛋白質とリコンビナントEGFRとの結合を見出し、また、EGFR抗体/緑膿菌外毒素A融合タンパク質のA431細胞等での細胞増殖阻害活性を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は遺伝子組換えビフィズス菌を用いてEGFR陽性がんに対する新規な治療法を確立することである。ビフィズス菌は、静脈内に投与した場合、非常に高い選択性をもって腫瘍でのみ増殖する。申請者らは、ビフィズス菌に抗EGFR抗体/緑膿菌外毒素A融合蛋白質を分泌させることにより、in vivoでEGFR陽性移植がん細胞に対し抗腫瘍活性が現れることを見出した。 これを基に具体的な研究項目として①種々のEGFR陽性がん細胞に対するin vivoでの抗腫瘍効果の解析、②本融合蛋白質の分子レベル、細胞レベルにおける作用機序の解析を行い、EGFR陽性がんに対する新規な治療法の開発を目指している。 本年度は、①の項目ではEGFR陽性の乳がん由来細胞MDA-MB-468及び、EGFR陽性の結腸がん由来細胞HT-29のin vivoでの抗腫瘍効果について解析を行い、乳がん由来細胞MDA-MB-468では高い抗腫瘍効果という重要な成果を得られた。また、②の項目では、EGFR抗体/緑膿菌外毒素A融合タンパク質とリコンビナントEGFRとの結合を見出し、またEGFR抗体/緑膿菌外毒素A融合タンパク質のA431細胞等での細胞増殖阻害活性を見出しており、これもまた重要な成果が得られている。 これらのことから、「研究の目的」の達成度については、(2)おおむね順調に進展している。と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
交付申請書に記入した通り、種々のEGFR陽性がん細胞に対するin vivoでの抗腫瘍効果の解析を実施する。 1) EGFR陽性の膵臓がん由来BxPC-3細胞のin vivoでの抗腫瘍効果 EGFR陽性の膵臓がん由来細胞に対する抗EGFR抗体/緑膿菌外毒素A融合蛋質を発現する組換えビフィズス菌の抗腫瘍効果を調べるために、EGFR陽性であるBxPC-3膵臓がん細胞移植マウスに対して、本組換えビフィズス菌を尾静注により投与し抗腫瘍効果を調べる。 2) EGFR陽性の肺がん由来PC-9細胞のin vivoでの抗腫瘍効果 EGFR陽性の肺がん由来細胞に対する抗EGFR抗体/緑膿菌外毒素A融合蛋質を発現する組換えビフィズス菌の抗腫瘍効果を調べるために、EGFR陽性であるPC-9肺がん細胞移植マウスに対して、本組換えビフィズス菌を尾静注により投与し抗腫瘍効果を調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費の使用計画としては、動物実験費として800千円、蛋白質工学試薬費用として400千円、細菌培養培地等として100千円、遺伝子工学試薬、蛋白精製関連試薬として100千円を使用する予定である。
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