研究課題/領域番号 |
24590204
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 千葉科学大学 |
研究代表者 |
久保田 隆廣 千葉科学大学, 薬学部, 准教授 (50323580)
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研究分担者 |
内山 幹 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (10385297)
小田原 俊一 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (50445673)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | delta 6 desaturase / IBD / Crohn’s disease / n-3 PUFA / n-6 PUFA / Genetic polymorphism / arachidonate cascade / Japanese |
研究概要 |
本研究の目的は、第一にリノール酸からアラキドン酸への律速酵素とされるΔ6デサチュラーゼ (Δ6 desaturase) についてクローン患者に特有の遺伝的多型性を探索すること、第二にその遺伝的多型性がリノール酸代謝活性にどのような影響を及ぼすかについて解析することである。 初年度(平成24年度)の研究実施計画とその成果について以下に記す。 (1) 研究試験計画書作成と倫理審査委員会審査: 被験者の募集を担当する東京慈恵会医科大学附属柏病院、得られた検体の遺伝子解析などを実施する千葉科学大学の双方において倫理審査委員会による審査・承認を得た。前者においては平成24年11月、後者は平成25年2月に承認された。【終了】 (2) 炎症性腸疾患 (IBD) 患者の遺伝子解析用・脂肪酸分析用検体の収集: 被験者には口頭および文書にて試験計画を説明し、同意を得たうえで実施する。(1) の承認が得られたことから、平成25年度より収集を開始する。 (3) Δ6 desaturase 遺伝子多型解析系の確立: Δ6 desaturase 遺伝子配列の解析系を確立 (シークエンス) した。健常人ヒト由来のゲノム DNA を用いて、Δ6 desaturase の翻訳領域である exon 1 から exon 12 までを解析することができた。【終了】 (4) 多価不飽和脂肪酸分析: 被験者の赤血球画分を用いて、n-6 多価不飽和脂肪酸の代謝過程における Linoleic acid や Arachidonic acid などの分析・測定を行う。(2) IBD 患者の脂肪酸分析用検体が収集された後に分析・測定を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は、クローン疾患患者を対象としたΔ6デサチュラーゼ (Δ6 desaturase) 遺伝的多型性の解析を行うため、厳密な試験計画書をもとに倫理審査委員会による審査・承認が必須となる。被験者の募集を担当する東京慈恵会医科大学附属柏病院はもちろん、得られた検体をもとに各種の解析や定量を実施する千葉科学大学も別途、審査を必要とするため、施設ごとの倫理審査委員会にて研究計画を申請した。 対象とするクローン疾患患者には未成年者も含まれるため、厳密かつ慎重な審査が行われた。その結果、東京慈恵会医科大学附属柏病院では平成24年11月、千葉科学大学では平成25年2月に承認された。これにより、平成25年度からクローン疾患を含む炎症性腸疾患患者の検体の収集に着手できることとなった。 当初の計画では、1年目に倫理審査委員会による審査・承認、および Δ6 desaturase 遺伝子配列解析系の確立、2年目以降に多価不飽和脂肪酸の分析を随時に行い、最終的には遺伝的多型と多価不飽和脂肪酸の分析結果の照合を目指している。したがって初年度の進捗においては、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」を受けて、以下に平成25年度の研究実施計画を示す。 (5) 炎症性腸疾患 (IBD) 患者の遺伝子解析用・脂肪酸分析用検体の収集 (6) Δ6デサチュラーゼ (Δ6 desaturase) 遺伝子多型解析: (5) ヒトゲノム DNA を対象に Δ6 desaturase 点突然変異およびシークエンス解析を行う。 (7) 多価不飽和脂肪酸分析: (5) 被験者の赤血球画分を用いて、n-6 多価不飽和脂肪酸の代謝過程における Linoleic acid および Arachidonic acid などの分析・測定を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度以降においては、各研究施設に現存する設備を有効に使用することで実施可能と考えている。したがって、研究費用の主要となるものは研究消耗品費のほか、検体等の管理運送や被験者の臨床データ管理費用である。なかでも中心となるのは、Δ6デサチュラーゼ (Δ6 desaturase) に関する遺伝子型を確認するための点突然変異判定や DNA シーケンサーに要する費用、および多価不飽和脂肪酸を分析するための消耗品を必要とする。具体的にはヒト DNA 抽出、Δ6 desaturase 遺伝子型判定に必要とされる試薬、DNA シーケンサー費用、多価不飽和脂肪酸分画、ガスクロマトグラム分析等の備品費用などに用いる。 旅費については、研究試料の供与先である研究分担者 (慈恵会大学附属病院) との協議が必要となる場合が見込まれる。このほか、国内における主要な学術大会 (日本臨床薬理学会、日本消化器病学会等) への参加費用、共同研究者との実験材料等の搬送費用などに用いる。
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