研究課題/領域番号 |
24590206
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 千葉科学大学 |
研究代表者 |
細川 正清 千葉科学大学, 薬学部, 教授 (70181500)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | プロドラッグ / CES / AADAC / PON / エステラーゼ / 代謝活性化 |
研究概要 |
本研究においては、carboxylesterase (CES)、butyrylcholinesterase (BuChE), arylacetamido deacetylase (AADAC), cholesteroesterase(およびparaoxonase (PON)によるエステルまたはアミド結合を持つプロドラッグの代謝活性に対する寄与を調べると共に、これらの代謝活性化酵素の臓器特異的発現機構について解明し、最終的にはトランスポーターと共発現させたプロドラッグの代謝活性化モデル細胞を作成することを目的に研究を行った。その結果、本年度はヒトCES1A1, CES1A2, CES2A1, CES3, AADAC, BuChE, PON1,PON2およびPON3のmRNAの各臓器における発現量の測定と特性の比較の研究において、ヒトCES1A1,CES1A2,CES2A1,CES3,AADACおよびPON1について、それぞれのcDNAをヒト腎由来細胞であるHEK293に導入した異種細胞発現系を作成した。そして、temocapril, CPT-11 methylprednisolone 21-hemisuccinateを初めとした臨床上重要なプロドラッグについて代謝活性化能を調べた結果、CES1A1およびCES1A2は、temocaprilに対する特異性が高く、CES2A1はmethylprednisolone 21-hemisuccinateに対する特異性が高いことが明らかとなった。PONに関しては、phenylacetateの加水分解活性は示したが、使用したプロドラッグに対する代謝活性化能は持っていなかった。AADACに関しても、使用したプロドラッグに対する代謝活性化能は示さなかったため、今後さらに他種類の基質薬物を用いた検討が必要であると考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はヒトCES1A1, CES1A2, CES2A1, CES3, AADAC, BuChE, PON1,PON2およびPON3のmRNAの各臓器における発現量の測定と特性の比較の研究において、ヒトCES1A1,CES1A2,CES2A1,CES3,AADACおよびPON1について、それぞれのcDNAをヒト腎由来細胞であるHEK293に導入した異種細胞発現系を作成し、プロドラッグに対する代謝活性化能を調べることが出来た。ただ、ヒトCESの臓器特異的発現調節機構の解明に関しては、使用した小腸由来細胞に5-aza-dCを添加しても、mRNAの増加が見られなかったため、さらなる検討が必要である。
|
今後の研究の推進方策 |
carboxylesterase (CES)、butyrylcholinesterase (BuChE), arylacetamido deacetylase (AADAC), cholesteroesterase(およびparaoxonase (PON)によるエステルまたはアミド結合を持つプロドラッグの代謝活性に対する寄与について、今年度作成した異種細胞発現系を用いて、さらに多くのプロドラッグの代謝活性能を調べる。さらに、臓器特異的発現に関しては、使用する細胞の種類を変えることで、検討を行っていく。
|
次年度の研究費の使用計画 |
プロドラッグの代謝活性化酵素に関して引き続き実験を行い、平成24年度までに作成したヒトCES1A1,CES1A2,CES2A1,CES3,AADACおよびPON1の異種細胞発現系を用いて、可能な限り多くの異なった構造を持つプロドラッグの代謝活性化酵素を特定する。さらに、CES1,CES2以外で特定の臓器における代謝活性化酵素が見つかった場合には、それぞれの代謝酵素遺伝子のゲノムクローニングを行い、組織特異的発現調節機構について、HNF4 を初めとする核内因子による組織特異的発現調節機構や、GpCアイランドを有する遺伝子に関してはDNAメチル化等について検討する予定である。
|