研究概要 |
多発性骨髄腫では、Mタンパクと呼ばれるモノクローナルな免疫グロブリンを産生する。これまでに、MタンパクL鎖には、健常人の免疫グロブリンのL鎖にはみられない糖鎖が結合していることを明らかとした。このため、Mタンパク結合糖鎖に着目し、多発性骨髄腫の合併症の予測を可能とする新たな診断・治療マーカーの開発を目的とし研究を遂行した。 骨髄腫細胞株(KMM1, RPI18226)を用いて、多発性骨髄腫の合併症に関与する生理活性物質を用いて株化細胞を刺激し、MタンパクL鎖糖鎖構造の変化について検討するためその培養条件について検討した。その結果、FBS中の免疫グロブリンL鎖中の糖鎖が、この分析系を妨害することがわかった。このため、培養条件に無血清培地を選択して、細胞表面糖鎖を指標に培養条件の検討を行い、FBSを含む培地と同様に無血清培地でも同様の糖鎖が細胞膜表面に発現する条件を見いだした。本条件を用いて、各細胞株より分泌されるMタンパクL鎖に結合している糖鎖と反応するレクチンは、KMM1細胞で、SSA, ECA, GS-II, BPA, SBA, WGA, UEA1、RPI18226細胞ではSSA, GS-II, ABA, LEA, SBA, MAM, AAL, TL, ConAであることを明らかとした。また、各細胞表面に発現している糖鎖も同様のレクチンと反応した。種々の生理活性物質の刺激による糖鎖変化については現在検討中である。 さらに、本法を臨床応用するため、このMタンパクL鎖結合糖鎖の迅速な分析法としてレクチンと抗L鎖抗体を用いたELISA法を開発した。 以上の結果より、細胞接着に関与する細胞表面糖鎖をMタンパクL鎖糖鎖が反映していることが明らかとなり、MタンパクL鎖糖鎖分析が、新たな多発性骨髄腫のバイオマーカとなる可能性が示された。
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