研究課題/領域番号 |
24590211
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研究機関 | 昭和薬科大学 |
研究代表者 |
村山 典惠 昭和薬科大学, 薬学部, 講師 (90219949)
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研究分担者 |
山崎 浩史 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (30191274)
清水 万紀子 昭和薬科大学, 薬学部, 講師 (90307075)
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キーワード | P450 / HepaRG / 抗精神薬 / 相互作用 / 酵素誘導 |
研究概要 |
臨床的に最適な治療効果を得るため、うつ病やアルツハイマー病については、併用される薬物の数と種類が多岐にわたる。また、多くのうつ病治療薬はP4502DおよびP4503Aによる代謝を受けることが知られていることから、薬物併用時の相互作用について古くから使用されているリスぺリドンと近年処方されることが多くなってきている数種の薬物について、in vitro系で検討した結果。3剤以上の併用時に特に強い阻害作用が認められることが明らかとなった。一方、薬物の代謝についてはヒト肝由来HepaRG細胞を用いて検討を行った。近年、多発性骨髄腫の治療に用いられているサリドマイドはこれまでのin vitroでの検討でヒトP4503Aとの間に協同性が認められている。さらに詳細な検討を行うために、ヒト肝移植キメラマウスにサリドマイドを投与したのち、ミダゾラム投与を行い時間経過に伴った代謝消失について観察した結果、サリドマイド投与マウスではミダゾラムのAUCに速やかな減少傾向が認められ、さらに血漿中の4-水酸化ミダゾラム濃度の有意な増加が認められた。同様の傾向は培養細胞系においても認められたことから、サリドマイドはP4503AおよびP4502Bの誘導効果を有することが示唆された。これらP450の誘導機構については、核内レセプターを介することが報告されている。そこで、最近開発されたPameChipを用いたサリドマイドと核内レセプター、PXRおよびCARの反応性の検討結果から、サリドマイドは核内レセプターPXRおよびCARのリガンドとしての作用を有し、ヒトにおけるP4503AおよびP4502Bの誘導効果を発現している可能性が強く示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
共同研究先からの臨床検体が始めのうちは時間がかかっていたが最近は定期的な検体の提供をしていただけるようになってきている。少しずつ検体についても投与薬剤ごとの検体数がまとまりつつある。今後、母集団解析を行う予定であることを共同研究者の方にもご理解いただき、さらに検体について数と採血ポイントを複数点集められるようにご協力を仰いでいるので、血漿中薬物濃度分析を継続することに支障はないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、臨床検体について対象薬剤の血漿中濃度分析を行うとともに、薬物動態に影響を与えると考えられる遺伝子多型についての解析をおこなう。得られた検体の血漿中薬物濃度測定結果をもとに、Monolixを用いたポピュレーション解析を行うことを計画している。解析については遺伝子多型との関連性、患者情報をもとにさまざまな観点から検証してく。また、臨床での処方で抗精神薬およびうつ病に関しては、いくつかの併用が主になっていること、またその他の疾患に対する治療薬の併用から、薬物相互作用の可能性が考えられる。そこで、培養細胞を用いた薬物相互作用評価系についての検討を進めていくとともに、ヒトドーパミン分泌細胞SH-SY5Yを用いてパーキンソン病関連物質MPTPの代謝についての検討を行い、アルツハイマーを含む各種神経変性疾患における要因について探索する。
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次年度の研究費の使用計画 |
いくつかの試薬について、まとめて購入したり、輸入試薬についてはレートが変更になり、そのため予定よりも差額が生じた。また、国内旅費に関しても早期に航空券の予約をしたので、予定していたよりも安くなった。 今季の消耗品の購入のため使用する予定である。
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