研究課題/領域番号 |
24590212
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研究機関 | 昭和薬科大学 |
研究代表者 |
藤井 まき子 昭和薬科大学, 薬学部, 准教授 (50199296)
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研究分担者 |
渡辺 善照 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (70175131)
小泉 直也 昭和薬科大学, 薬学部, 講師 (80433845)
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キーワード | ナノ粒子 / 経皮投与 |
研究概要 |
25年度は,24年度に調製できたモデル抗原として卵白アルブミン(OVA)を用い,酸化チタンナノ粒子を芯物質としたナノ粒子の処方の最適化を図った。併用する高分子により,分散性の変化,皮膚移行性の変化が予測されたため,アニオン性,カチオン性,および非イオン性の高分子を併用することにより,OVAの抗原性がどのように変化するかをPLNA法で比較検討した。その結果,カチオン性高分子では単独でもリンパ節の腫脹がみられ,適切ではないと判断した。セルロース系の非イオン性高分子のみでは,感作性がなく,OVA,酸化チタンの共存において,感作性の上昇がみられた。また,水溶性蛍光物質FITC標識デキストラン40000(FD-40)を用いた皮膚移行性評価において,毛包移行性を高める作用がみられたため,この高分子を分散補助並びに皮膚適用基剤として用いることとした。酸化チタンは,表面処理したものでは,タンパク保持能が低く,表面無処理のさらに粒子径の小さい15nmのものを用いたほうが送達率が高くなることが示唆された。 ナノ粒子の分散性及び皮膚移行性に関しては製剤の改良を行うことができたので,感作性についてOVAをモデルとした皮下投与検討をおこなった。OVAのみ投与したときよりもIgG上昇がみられたため,製剤としての有用性は確保できたと考えられる。しかし,皮膚に投与した場合に抗体価が上昇する例が少なく,皮膚への移行性あるいは毛包送達による感作性に関して問題があると考えられる。 W/O型乳剤に関しては,乳化剤をある種の高分子とし,凍結乾燥することにより,水溶性蛍光物質カルボキシフルオロセインの皮膚移行性が高められることが確認でき,さらに油相や調製条件を改良すれば,タンパク送達への応用が可能であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
成度 ナノ粒子の分散性及び皮膚移行性に関しては製剤の改良を行うことができた。また,それによる感作性についても卵白アルブミン(OVA)をモデルとした皮下投与検討により,OVAのみ投与したときよりもIgG上昇がみられたため,製剤としての有用性は確保できたと考えられる。これについては,日本薬学会関東支部会にて発表した。 しかし,皮膚に投与した場合に抗体価が上昇する例が少なく,皮膚への移行性,毛包送達による感作性に関して問題があると考えられ,今後の検討課題となった。 W/O型乳剤に関しては,ある種の高分子を用いることで,水溶性低分子物質の皮膚移行を高めることができ,製剤的に一歩前進をした。今後,内包物質を高分子とすることで更なる検討を加えれば,応用性の高い製剤が調製できる可能性がある。 25年度は,製剤的な面ではかなりの改良を加えることができ,計画を達成できた。しかし,実際の感作を行うためのベースとなるランゲルハンス細胞遊走の確認などの実験が遅れており,この点については引き続き26年度以降の検討課題となる。
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今後の研究の推進方策 |
実際にマウスに皮膚適用する実験を継続して行う。その際に皮膚への送達率を確認するためにFITC標識OVAを用い,問題点が毛包への移行性にあるのかどうかについて検討する。また,昨年度,十分な検討が行えなかった,免疫細胞や脾臓を用いたどのような免疫系が活性化できているかの評価について検討を行う。 W/O型乳剤に関しては,低分子から高分子蛍光物質であるFD-40にかえ,皮膚への移行状況を確認し,OVA製剤の調製,皮下注射による感作性評価へと実験を進めていく。
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