麻薬性鎮痛薬の脳移行を担うプロトン/有機カチオン輸送体の光学異性体認識性に関して、アポモルヒネエナンチオマーを用いて解析した。実験としてin vitro血液脳関門モデル細胞およびin vivo脳関門輸送測定法を用いた。これらの結果から、脳関門細胞への取り込み輸送、ラット血液脳関門を介した血液‐脳取り込み輸送および脳‐血液排出輸送のいずれにも異性体間での差はなく、立体選択的な血液脳関門輸送はみられなかった。またアポモルヒネの脳への取り込み輸送は脳からの排出輸送より大きく、速やかな薬効発現にプロトン/有機カチオン輸送体が寄与することが示唆された。 さらにオピオイド作動薬で癌性疼痛に用いられるトラマドールが、オキシコドンなどの麻薬性鎮痛薬と同様にプロトン/有機カチオン輸送体により脳内に取り込まれ、血液に比べ脳内で高い濃度勾配を形成することを見出した。
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