本研究では、乳がん治療薬タモキシフェン(TAM)に対して耐性を示す乳がん細胞の発生機構を明らかにし、耐性化克服の端緒とすることを目的とした。乳がん細胞中においてTAMを不活性化する薬物代謝酵素UGT1A4 が過剰発現した場合、TAMが代謝により不活性体のグルクロニドとなり薬物トランスポーターMRP-1を介して速やかに細胞外に排泄され細胞内濃度が減少していることが明らかになった。さらにはUGT1A4発現株におけるTAM耐性化はこれまでに報告されている機構とは異なり、薬物代謝酵素の過剰発現もTAM耐性化機構の一つとなりうることが示唆され、耐性化克服の標的となりうると考えられた。
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