研究課題/領域番号 |
24590218
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 明治薬科大学 |
研究代表者 |
鈴木 俊宏 明治薬科大学, 薬学部, 講師 (80322527)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 薬物動態 / バイオ医薬品 / 酵素補充療法 / マンノース6リン酸レセプター |
研究概要 |
本研究は酵素補充療法に用いられる酵素製剤を例にバイオ医薬品の臓器取り込み機構をインビトロで評価出来る系の構築を目的としている。 本年度は心筋細胞、腎皮質上皮細胞及び腎尿細管上皮細胞の培養を行い、その取り込み酵素のモデルとしてα-ガラクトシダーゼ(GLA)の取り込みとその主たる取り込み因子とされているマンノース6りん酸レセプター(M6PR)発現レベルの検討を行った。 その結果、心筋細胞に比べて、腎皮質上皮細胞及び腎尿細管上皮細胞においてM6PRの発現が低かった。しかしながら、GLA添加実験では、M6PRの発現が低かった腎臓由来細胞での取り込みが高いことを明らかにした。 これらの結果から、腎臓組織由来細胞においてはM6PR以外のレセプターがGLA酵素取り込みに関与している可能性を明らかにした。 今後は、他の細胞腫を加えることによってH24年度に遅れた評価系の構築を行う。さらに、腎臓由来細胞の取り込みにおけるM6PRの寄与率について検討を行うために、siRNAによるM6PRの抑制やM6P共存によるGLA取り込み阻害実験を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、ヒト正常組織由来繊維芽細胞、微小血管内皮細胞、心筋細胞、腎皮質上皮細胞、尿細管上皮細胞、メサンギウム細胞を培養して、培養条件を統一化した評価系の構築を行う予定であったが、正常組織由来細胞の培養が複雑であり、同一条件下での培養が困難であった。よって、本年度は心筋細胞、腎皮質上皮細胞、尿細管上皮細胞の3種についてのみの検討しか行えなかった。 しかしながら、細胞種の拡大が難航したため、H25年度に予定していたマンノース6りん酸レセプターの発現レベルの検討を先行して行った。 それらの結果から、M6PR非依存的な取り込み機構が存在し、その評価を培養細胞で行えることが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、進行の遅れた他の細胞種での基礎検討を行い、in vivo を反映させるような組織培養を用いたin vitro 評価系の構築を引き続き行っていく。 また、少なくとも腎臓系の細胞においてはM6PR非依存的な取り込みの存在が明らかとなったことから、M6PRの寄与率を明らかにするとともに、新たな因子の探索に取り組んでいく。
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次年度の研究費の使用計画 |
引き続き、細胞種を拡張することで正常組織における取り込みを外挿するために評価系の構築を行う。そのため、正常組織由来細胞の培養を継続する。 またM6PR依存性の検討のために、M6PRのsiRNAによる阻害条件下での取り込み実験を試みる。 それらの実験を遂行するために、培養関係の試薬や、M6PRに対するsiRNA等の消耗品に研究費を使用する予定である。
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