研究課題/領域番号 |
24590228
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
冨永 宏治 福岡大学, 薬学部, 准教授 (10509623)
|
研究分担者 |
山内 淳史 福岡大学, 薬学部, 准教授 (90341453)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 慢性閉塞性肺疾患 / 血液脳関門 / レニン-アンギオテンシン系 / 副作用 |
研究概要 |
本研究は、慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease : COPD)患者の脳血管障害や情動障害の発症・進展の成因として血液脳関門(BBB)の脆弱化とレニン・アンギオテンシン系(RAS)に着目し、この分子機構を明らかにすることにより、脳血管障害や情動障害の発現・進展の予防、予測・回避策の基盤となる情報を提示しようとするものである。本研究では「COPD患者の循環血中の炎症性刺激因子が脳ペリサイト病変化を誘発し、BBB機能を脆弱化する」さらに「COPD患者におけるBBB脆弱化はRAS阻害薬により制御できる」という仮説を検証する。 本年度は、エラスターゼ誘発COPDマウスを作製し、エラスターゼ投与3週後において、そのモデルの評価として、強制運動負荷による肺機能の評価、気管支肺胞洗浄液のマクロファージおよび好中球数の増加、組織学的観察による平均肺胞間距離の測定を行った。その結果、気管支肺胞洗浄液中のマクロファージ及び好中球は増加し、平均肺胞間距離は増大したが、これらの結果と強制運動負荷による走行距離の間には相関が認められなかった。 BBBを構成するタイトジャンクション関連蛋白質(claudin-5, occludin, ZO-1)の発現量の変化についてwestern blotting法を用いて解析中である。 さらに、アンギオテンシンII 受容体拮抗薬により、フルオレセインNaのBBB透過性が変化するか検討した。その結果、エラスターゼ投与によりフルオレセインNaの透過性が亢進するが、アンギオテンシンII受容体拮抗薬ロサルタンをエラスターゼ投与2週間後から投与することで、その透過性は改善する傾向が認められた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度、実施したタイトジャンクション関連蛋白質の発現量変化について、現在解析中である。これはこれまで等研究室で行ってきた他の研究を元に選定した実験条件、試薬、抗体等で対照群における発現が検出されず、条件、抗体を改変する必要があったためである。この検討に時間を要すことから、来年度以降実施を予定していたRAS阻害薬によるBBB機能への影響についての検討を本年度行い、結果を得ることが出来た。 よって、進捗状況をやや遅れていると評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
COPDモデルマウスとして、タバコ煙誘発モデルおよびエラスターゼ誘発モデルを予定いていたが、タバコ煙誘発モデルは作成に、6ヶ月を要すこと、強制運動負荷によるマウスが生きたままでのモデル作成の確認が困難であるとこから、今後はエラスターゼ誘発モデルのみで研究を行い、研究推進に努める。 また、次年度以降はCOPDモデルマウスの上清負荷あるいは肺胞洗浄液負荷によりin vitro BBB-COPD病態モデルを再構築し、BBB脆弱化因子を探索する予定である。そこで、in vitro BBBモデルにおける研究について高度な技術を有し、実績がある松本純一氏に共同研究者として新たに参加してもらうこととする。
|
次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
|