研究課題/領域番号 |
24590228
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
冨永 宏治 福岡大学, 薬学部, 准教授 (10509623)
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研究分担者 |
山内 淳史 福岡大学, 薬学部, 准教授 (90341453)
松本 純一 福岡大学, 薬学部, 助教 (10550064)
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キーワード | 慢性閉塞性肺疾患 / 血液脳関門 / レニンーアンギオテンシン系 / 副作用 |
研究概要 |
本研究は、慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease : COPD)患者の脳血管障害や情動障害の発症・進展の成因として血液脳関門(BBB)の脆弱化とレニン・アンギオテンシン系(RAS)に着目し、この分子機構を明らかにすることにより、脳血管障害や情動障害の発現・進展の予防、予測・回避策の基盤となる情報を提示しようとするものである。本研究では「COPD患者の循環血中の炎症性刺激因子が脳ペリサイト病変化を誘発し、BBB機能を脆弱化する」さらに「COPD患者におけるBBB脆弱化はRAS阻害薬により制御できる」という仮説を検証する。 本年度は、エラスターゼ誘発COPDマウスを作製し、アンギオテンシンII 受容体拮抗薬により、フルオレセインNa、エバンスブルーのBBB透過性が変化するか検討した。その結果、エラスターゼ投与によりフルオレセインNaの透過性が亢進するが、アンギオテンシンII受容体拮抗薬ロサルタンをエラスターゼ投与2週間後から投与することで、その透過性は改善が認められた。 また、COPDの治療では長時間作用方抗コリン薬の吸入が行われるが、抗コリン薬は認知機能障害の因子である事、COPD患者では認知機能障害が問題になっている事から、エラスターゼ誘発COPDマウスにおいて抗コリン薬メチルスコポラミンの脳内移行性とそれに対するアンギオテンシンII受容体拮抗薬ロサルタンの影響を検討した。その結果、メチルスコポラミンの脳内移行性は増大したが、ロサルタンはそれに影響を及ぼさなかった。この事から抗コリン薬の脳内移行性の機構にはレニン-アンジオテンシン系は関与しない事が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度から継続して検討を行っていた血液脳関門を構成するタイトジャンクション関連蛋白質の発現量変化について、対照群における発現が検出されなかった。そのため現在免疫染色法を用いて血液脳関門の変化について検討中である。また、in vitro BBB-COPD病態モデルの構築、BBB脆弱化因子を探索については研究中である。 よって、進捗状況を遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
In vivo系では免疫染色法を用いて血液脳関門の変化を検討し、血清中のインターロイキンなどの変動との関連について検討する。 また、COPDモデルマウスの上清負荷あるいは肺胞洗浄液負荷によるin vitro BBB-COPD病態モデルでの、BBB脆弱化因子を探索を継続する。
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