研究課題/領域番号 |
24590230
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
内藤 輝 山形大学, 医学部, 教授 (90188855)
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キーワード | 手根伸筋群 / 手根屈筋群 / 組合せ神経筋電気刺激 |
研究概要 |
手根の伸筋群には長橈側手根伸筋(ECRL)、短橈側手根伸筋(ECRB)、尺側手根伸筋(ECU)、屈筋群には橈側手根屈筋(FCR)、尺側手根屈筋(FCU)がある。本研究は、前腕3肢位(回内位、中間位、回内位)で、これら5筋のうち隣り合う作用を持つ2筋を組合せ神経筋電気刺激(ENS)することにより、手根のあらゆる方向の運動や力を誘発できるかどうか調べるものであり、平成25年度は、24年度に引き続き中間位でECRLとECRB、ECRBとECUの組合せENS、新たに回内位と中間位でECRLとFCR、ECUとFCUの組合せENSを調べた。 対象は健常男性5名(20-26歳)の右上肢とした。ENSの刺激電極としてフック型ワイヤー電極を作製し、各筋運動点に刺入留置した。刺激には幅0.2 ms、周波数20 Hzの矩形波(0-20 V)を用い、強度は運動閾値(0%)から最大収縮の得られるまで(100%)の間とした。組合せENSは以下の同期刺激と交代刺激を行った。同期刺激は、一つの筋を100%、もう一つの筋を0%から100%までの間の強度で同期して刺激した。交代刺激は、先ず一つの筋を100%の強度で刺激してこれを維持、次いでもう一つの筋を100%の強度で刺激して維持、その後はじめに刺激した筋の刺激強度を0%に下げた。誘発された運動は3Dポジションセンサー、力は自作の計測装置で計測し、デジタル画像・波形実時間同期収録装置に記録した。 各筋単独の100%刺激により各々の方向に手根の曲げ運動や曲げ力が誘発された。同期刺激により単独刺激で誘発された運動の間の方向の曲げ運動や力の間の方向の曲げ力、交代刺激により単独刺激の運動と運動の間を結ぶ描弧運動や力と力の間を結ぶ描弧力が誘発された。今後、手根のあらゆる方向の運動や力が誘発できる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
回内位と中間位でECRLとECRBおよびECRBとECUの組合せENSの実験が終了し、現在、回内位と中間位でECRLとFCRおよびECUとFCUの組合せENSの実験に取り組んでいる。 これまでの実験から、回外位での伸筋群、回内位での屈筋群の組合せENSは、電極の刺入が難しい、刺入できても前腕固定時に筋腹が圧迫されるため電極が抜けやすい、手の重さが影響して運動の誘発が一定しないことなどが分かった。そこで、回外位でのECRLとECRB、ECRBとECU、回内位でのFCRとFCUの組合せENSを断念することにした。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度前半に、回内位と中間位でECRLとFCRおよびECUとFCUの組合せENSの実験を終了させ、後半で、回外位と中間位のFCRとFCUの実験を終了させる。
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