研究課題/領域番号 |
24590232
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
高橋 秀治 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 特任准教授 (90447318)
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研究分担者 |
有泉 高史 玉川大学, 農学部, 教授 (30286166)
田中 利明 東京工業大学, 生命理工学研究科, 助教 (40263446)
二宮 裕將 東京大学, 総合文化研究科, 学術研究員 (40514237)
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キーワード | 発生生物学 / 幹細胞 |
研究概要 |
(1) 同一な濃度のActivinによる2種類の内胚葉への分化メカニズムの解明について 昨年度探索し候補としてあげられた遺伝子を過剰発現して反応性の変化を調べたが大きな変化を引き起こす遺伝子はその中には存在していなかった。一方ツメガエル胞胚全体が表層と内層というApical-basalの極性を持つことが知られている。本年度はこの極性に関わることが知られている遺伝子群のネッタイツメガエルホモログを胚から抽出し、過剰発現用ベクターにクローニングしシーケンスを確認した。過剰発現用に準備した遺伝子の内訳はapkc、par1、par3、lgl2、numb、numb-like、wnt5b、crumbs3、prox1、hes3.1、notchICD、delta-like、grh3である。次年度に過剰発現を行う予定である。また、昨年度に行ったヒトiPS細胞を用いたコロニーの領域による反応性の差異のDNAアレイによる検出の再現性をとる実験を行い、前回と同様な結果が再現された。 (2) ヒトIPS細胞が示す可逆的な分化のメカニズムの解明については25年度の計画では胚内におけるNanogの抑制を担当する分子の探索を予定していたが、ネッタイツメガエルとアフリカツメガエルの両方のゲノム解析の結果(特にアフリカツメガエルのゲノムについては申請者が国際ゲノムコンソーシアムに参加している)、これらの動物にはnanogが存在しないことが分かったため、比較研究を行うことが不可能であることが分かった。このためこの研究を一時中断し、26年度に行う研究(ヒトiPS細胞を用いた2種類の内胚葉への単独誘導法と不可逆的分化誘導法の開発)を一部前倒しして行った。予備実験の結果、培養方法と誘導因子の処理方法を工夫することによりヒトiPS細胞をほぼ単一の内胚葉に分化させることができるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1) 同一な濃度のActivinによる2種類の内胚葉への分化メカニズムの解明についてはスクリーニングして得られた遺伝子には顕著な活性は認められなかったが、もう一つの戦略として計画していたApical-basalの極性形成に関わる遺伝子群のネッタイツメガエルホモログのクローニングが完了し、過剰発現の準備が整ったことである程度リカバリーできたことによる。 (2) ヒトiPS細胞が示す可逆的な分化のメカニズムの解明については比較研究が行えないことからNanogの解析が困難になったが、26年度に行うことを予定していた研究(3)の一部を前倒しして行え、分化の方向性の均一化を行うための新しい方法を開発できたことによる。
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今後の研究の推進方策 |
(1)についてはApical-basalの極性形成に関わる遺伝子群のネッタイツメガエルホモログの過剰発現を行い、これによる分化の方向性の変化をマーカー遺伝子により検出する。変化が観察された物については機能阻害などの詳細な解析を行う。 (3)については25年度に一部達成できているので、これを発展させて論文作成などの研究発表を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
計画していた研究が都合により次年度に先送りになったため。 今年度に行うことになった解析を行うため、試薬およびコンピュータを購入する。
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