研究課題
1) 腸上皮組織とMDCK細胞におけるAPCとDLGの分布・局在を検索した。APCとDLGは腸上皮組織内では上皮細胞接着部で共局在した。一方、上皮化していないMDCK細胞コロニー内では、APCとDLGは細胞突起先端部で共存し、この共存は微小管に依存した。2)ドミナントネガティブ分子(APC2772-2843)によってAPCとPSD-95の結合を阻害した培養海馬ニューロンにおける、APCとPSD-95およびグルタミン酸AMPA受容体の分布・局在を検索した。ドミナントネガティブ分子(APC2772-2843)によってAPCとPSD-95の結合を阻害した培養海馬ニューロンでは、PSD-95とAMPA受容体のクラスタリングが阻害された。同時に、AMPA受容体の反応性も抑制された。3) COS7細胞にAPCとPSD-95又はC末端が欠損したAPCとPSD-95を発現させ、微小管の分布を比較した。APCとPSD-95を発現させたCOS7細胞では、微小管の束が形成された。一方、C末端の欠損した変異APCとPSD-95を発現させたCOS7細胞では、微小管束の形成が抑制された。4) C末端側が欠損した変異APC(APC1638T)を発現するトランスジェニックマウスの皮膚と眼球と骨の解析が進行中である。
2: おおむね順調に進展している
当初の平成25年度研究実施計画は脳と眼球の形態形成へのAPCの役割を追究することであった。前者については、APC1638Tマウスの脳の構造と神経精神機能の解析をまとめた論文がpublishされ、一応の目標を達成した。後者に関しては、APC1638Tマウスの眼球の構造にいくつかの異常を見出したが、その詳細な解析は今後の課題とする。他に、消化管、皮膚、骨の解析を進めており、全体としては順調な進展と言えるだろう。
平成26年度は最終年度なので、現在解析が進行しているAPC1638Tマウスの消化管、皮膚、骨のデータを集約して、論文発表にまで持っていきたい。
実験試薬・抗体の使用量が予定よりも少なかったため。平成26年度の当初の計画であるAPC1638Tマウスの腸(細胞交代現象)、眼球(網膜層構造)の解析に加えて、皮膚と骨の解析も実施する。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)
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10.1186/1756-6606-7-21
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