研究課題/領域番号 |
24590235
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 堅太郎 和歌山県立医科大学, 先端医学研究所, 講師 (20404345)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | Sirenomelia / Bmp / Isl1 / 体幹後部形成 / 泌尿生殖器 |
研究概要 |
後肢や泌尿生殖器など体幹後部の多器官におよぶ複合的な形成異常は、先天性奇形症の1つマーメイドシンドロームの特徴である。この複合的な形成異常は、体幹後部を形成する細胞、すなわち、後肢と泌尿生殖器官の前駆細胞が共通である可能性を示唆していると考えられる。これまで、この前駆細胞の同定は困難であった。しかし、私は、マウス胎児体幹後部に興味深い発現様式を示す遺伝子として“Isl1”を見出した。さらにIsl1が発現する細胞において特異的に増殖因子の1つであるBmp4(骨形成因子4)を機能破壊したマウス(Isl1Cre Bmp4 cKOマウス)は、このヒト先天性体幹後部形成異常に類似した形成異常を呈することを見出した。本研究は、遺伝子改変マウスを用いて、体幹後部を形成する前駆細胞の同定とその破綻が引き起こす先天性形成異常の発症メカニズムについて、前駆細胞(プロジェニター)を知ることで統合的に理解することを目的としている。 Isl1Cre Bmp4 cKOマウスは、Isl1が発現している細胞においてBmp4の機能が喪失している。つまり、Isl1Creが発現している細胞がいつから、どこで出現しているかを突き止めることで体幹後部前駆細胞の同定に繋がると考えられる。そこで、薬剤(タモキシフェン)誘導型Isl1merCremerマウスおよび Gt(ROSA)26Sorマウスを用いてIsl1発現細胞を可視化し、その後、どの器官形成へ寄与するのかを調べるため細胞系譜実験を行った。その結果、胎生8.5から胎生10.5日目にかけてIsl1を発現する細胞が後肢さらに膀胱、外生殖器といった泌尿生殖器の形成に寄与していることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の主な目的は、Isl1merCremerマウスおよび Gt(ROSA)26Sorマウスを用いてIsl1発現細胞を可視化し、その後、どの器官形成へ寄与するのか細胞系譜を理解することであった。様々な体幹後部形成過程のタイミングでIsl1発現細胞をマークし、その後の細胞系譜を調べた結果、ISl1発現細胞が出現する時期、さらに泌尿生殖器および後肢へ寄与するIsl1発現細胞群を同定することができ、おおむね順調に進展しいる。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度の実験計画の中にFACSにより蛍光でラベルしたIsl1発現細胞を回収するため、Isl1Cre Bmp4cKO/ROSA26Sortm(EYFP)Cos/Jマウスを作成する予定であったが、交配実験が予定通り進まず完全な系統の樹立に至らなかった。そのため、当初予定していた実験ができず当該研究費が生じた。来年度にはこのマウス系統を樹立させ、Isl1Cre Bmp4cKO/ROSA26Sortm(EYFP)Cos/JマウスおよびコントロールマウスからFACSを用いてIsl1発現細胞のみを回収し、この回収した細胞を用いて遺伝子発現解析、Isl1発現細胞のライブイメージング解析を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
来年度は、まず、FACSにより蛍光でラベルした野生型のIsl1発現細胞およびBmp4遺伝子の発現が消失したIsl1発現細胞を回収するため、Isl1Cre Bmp4cKO/ROSA26Sortm(EYFP)Cos/Jマウスを樹立するための交配実験を行う。よってそのためのマウスの購入、維持のために使用する予定である。その後、同遺伝子改変マウスを用いてFACSによりそれぞれのIsl1発現細胞を単離し、単離した細胞群を使用しての遺伝子発現解析、組織学的解析、Isl1発現細胞のライブイメージング解析のための試薬消耗品購入のために使用する予定である。
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