研究課題/領域番号 |
24590235
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 堅太郎 和歌山県立医科大学, 先端医学研究所, 講師 (20404345)
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キーワード | マーメイドシンドローム / Isl1 / Bmp4 |
研究概要 |
マーメイドシンドロームは、後肢の融合および泌尿生殖器含む体幹後部の多器官において形態異常が起こるヒト先天性疾患である。マーメイドシンドロームの発症メカニズムの理解は、その形態異常が多岐にわたりまた重篤であることから困難とされてきた。しかし、私は、Isl1発現細胞において増殖因子の1つであるBmp4(骨形成因子4)の機能を破壊すると、マーメイドシンドロームに類似した形態異常を呈することを見出した。本研究は、種々の遺伝子改変マウスを駆使し、体幹後部を形成する前駆細胞の同定とその形成破綻が引き起こす先天性形成異常の発症メカニズムについて前駆細胞(プロジェニター)を知ることで統合的に理解することを目的としている。 これまでの解析から、それぞれの原基が出来る以前の胎生8.5日~胎生9.5日にかけてIsl1が発現する細胞群が後肢を含む体幹後部器官形成に関与している、つまり、Isl1発現細胞が後肢を含む体幹後部の前駆細胞である可能性が示唆された。このIsl1発現細胞の性質をより詳しく調べるため、Isl1発現細胞を蛍光色素(YFP)で可視化することができるIsl1Cre/ROSA26-EYFPマウスを作成し、Isl1発現細胞をFACSを使って単離することを試みた。さらに、後肢を含む体幹後部の前駆細胞におけるBmp4の機能を解析する手段として、種々の細胞外マトリクスでコーティングしたDish上、また、マトリゲルなどを使った3次元培養など初代培養実験系を確立することが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Isl1発現細胞を蛍光色素(YFP)で可視化するため、Isl1Cre/ROSA26-EYFPマウスを作成することができた。また、同マウスから、Isl1発現細胞をFACSを使って単離する条件を検討することができた。また、細胞の動きや形態変化など細胞生物学的解析を行うための初代培養実験系を確立することが出来た。しかし、FACSによって効率よく細胞を回収するためにはさらに組織に対する酵素処理の条件検討の必要性が残った。
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今後の研究の推進方策 |
FACSによるマウス生殖器官細胞を効率よく単離するための条件を検討する。効率だけでなく、単離した細胞を培養できるように細胞に対してダメージが低い条件についても検討する。Isl1Cre/ROSA26-EYFPマウスおよびIsl1CreBmp4cKO/ROSA26-EYFPマウスのIsl1発現細胞を使って、ノックアウトマウスでどのような遺伝子に発現変化が観られるのか?遺伝子発現解析を行う。また、Bmp4遺伝子の機能消失により何が起こっているのか?細胞増殖、細胞死の変化を調べるとともに初代培養実験系を使って細胞レベルでその機能解析を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度において遺伝子発現解析および細胞挙動解析を行う予定であったが、マウス胎仔組織から効率よく目的の細胞を単離することが出来なかった。また、単離後の細胞へのダメージが強かったため、予定通りの細胞挙動実験等を行うことが出来なかったため、これらの解析に必要な試薬等の購入を控えた。 本年度は、前年度確立したマウス胎仔組織から目的の細胞を単離するための条件について、より詳細な条件検討を行う。特により効率よく初代培養実験を行うため酵素処理の時間と濃度について再検討を行う。その後、単離した細胞を用いて遺伝子発現解析や細胞挙動解析を実施する。
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