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2013 年度 実施状況報告書

神経回路形成におけるセマフォリンの機能

研究課題

研究課題/領域番号 24590236
研究機関札幌医科大学

研究代表者

谷口 雅彦  札幌医科大学, 医学部, 准教授 (70260346)

キーワード軸索ガイダンス / 脳神経系 / ノックアウトマウス / 神経回路
研究概要

複雑な脳神経系において機能的な神経回路を形成するために、回路形成過程を制御する軸索ガイダンス分子が存在する。軸索ガイダンス分子としては、スリット,エフリン,セマフォリン,ネトリンが報告されている。セマフォリンは現在までに約30種類報告されている大きなファミリー分子で、神経系においては主に反発因子として機能する。セマフォリンの新たな機能解析の目的で新規セマフォリンのクローニングを試みた。その結果、2種類のマウスセマフォリンのクローニングに成功した。Sema3GとSema6Dである。Sema3Gは成体脳では小脳及び海馬特異的に発現している。レセプターはニューロピリン-2だと考えられ、神経軸索に対する反発活性を持つ。成体脳では生後に発現してくるので顆粒細胞の移動や高次脳機能に関与していると考えている。Sema6Dは脳に高発現している。Sema3GとSema6Dのノックアウトマウスの作成を進めており、最近Sema3Gノックアウトマウスの作成に成功した。また、最近モデル動物としてゼブラフィッシュにも注目して解析している。このため先ずゼブラフィッシュSema6Dのクローニングを試みた。この課程において、Sema6EとSema6Fのクローニングにも成功した。Sema6EとSema6Fはゼブラフィッシュ特異的なセマフォリンである。Sema6Dは発生中において菱脳やレンズなどで、成体脳においては小脳に発現している。Sema6Eは発生中においては菱脳やレンズなどで、成体脳では縦隆起に発現している。Sema6D、Sema6Eともに神経軸索に対する反発活性が認められた。これらのことより、初期発生中の神経回路形成に関与している可能性がある。Sema6Fは現在解析中である。今後は生体内での機能解析を進めていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

神経回路形成過程におけるセマフォリンの機能解析の研究を行っている。マウスにおいて新規セマフォリンであるSema3GとSema6Dの同定に最近成功した。これらのセマフォリンの詳細な発現解析をin situ hybridization法で行った。また、これらの抗体も作成してタンパク質レベルの発現解析も行った。さらに、神経軸索に対する反発活性の検討も培養系を用いた解析方法で行った。これらのことより、新規セマフォリンの発現解析、培養系を用いた機能解析について進展が見られた。また、重要であると考えているこれらのノックアウトマウスの作成であるが、ほぼ計画通りに進んでいる。現在はSema3Gノックアウトマウスの作成に成功したところである。このマウスはlacZ遺伝子も導入しているので、X-Gal染色により発現を簡単に見ることができる。これを使用して詳細な発現解析を行った。現在はノックアウトマウスの神経系における解析を進めている。
ゼブラフィッシュの新規セマフォリンに関しても発現解析と培養系を用いた機能解析が進んでいる。生体内での機能解析を進めているところである。このようにほぼ計画通りに順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

今後も今までと同様にセマフォリンの機能解析を進めていくが、今後は生体内でのセマフォリンの機能解析を中心に進めていく計画である。興味のある遺伝子の機能解析で重要であるのは生体内での機能解析だと考えている。このためにはノックアウトマウスの解析は必須であり、現在は解析を進めている。今後は抗体染色やトレーサーの使用、電気生理学的解析、行動解析を行い神経回路形成過程におけるセマフォリンの機能解析を進めていく。これらの解析により神経回路形成の分子機構の一端が解明されると考えられる。さらに、高次脳機能や神経疾患治療にも有益な研究に発展させていく計画である。

次年度の研究費の使用計画

ノックアウトマウスの作成には成功したが、計画より少し遅れたので金額が多く必要な解析の一部ができなかった。具体的には電気生理学的解析と高次脳機能を解析する行動解析である。
今年度は間違いなく計画通りに研究を進められる計画である。本研究課題の中で、1番苦労すると考えられたのはノックアウトマウスの作成で、実際少し苦労したが昨年度に成功した。ノックアウトマウスの解析方法についてはかなり詳細に計画しており、予備実験も成功しているので今年度は昨年度の遅れを確実に取り戻すことができると考えている。このため、今年度は多くの研究費が必要なので全額使用することになると考えられる。研究計画には特に変更はなく、昨年度以上に研究を遂行する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)

  • [雑誌論文] PlexinA4-dependent retrograde Semaphorin3A signalling regulates the dendritic localisation of GluA2-containing AMPA receptors.2014

    • 著者名/発表者名
      Naoya Yamashita, Hiroshi Usui, Fumio Nakamura, Sandy Chen, Yukio Sasaki, Tomonobu Hida, Fumikazu Suto, Masahiko Taniguchi, Kohtaro Takei, Yoshio Goshima
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 5 ページ: 3424

    • DOI

      10.1038/ncomms4424.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Brain Endothelial Cells Control Fertility through Ovarian-Steroid-Dependent Release of Semaphorin 3A.2014

    • 著者名/発表者名
      Paolo Giacobini, Jyoti Parkash, Celine Campagne, Andrea Messina, Filippo Casoni, Charlotte Vanacker, Fanny Langlet, Barbara Hobo, Gabriella Cagnoni, Sarah Gallet, Daniele Mazur, Masahiko Taniguchi, Massimiliano Mazzone, Joost Verhaagen, Philippe Ciofi, Sebastien G. Bouret, Luca Tamagnone, Vincent Prevot
    • 雑誌名

      PLOS Biology

      巻: 12 ページ: e1001808

    • DOI

      10.1371/journal.pbio.1001808.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Development of the dorsal ramus of the spinal nerve in the mouse embryo: Involvement of semaphorin 3A in dorsal muscle innervation.2013

    • 著者名/発表者名
      Tomoyuki Masuda, Masahiko Taniguchi, Chie Sakuma, Toshiyuki Yamagishi, Shuichi Ueda, Masahumi Kawaguchi, Hiroyuki Yaginuma
    • 雑誌名

      Congenital Anomalies

      巻: 53 ページ: 122-126

    • DOI

      10.1111/cga.12019.

    • 査読あり

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公開日: 2015-05-28  

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