研究課題/領域番号 |
24590237
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
中谷 雅明 横浜市立大学, 医学部, 助教 (70422095)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 細胞極性 / 平面極性 / 形態形成 / 発生分化 |
研究概要 |
本研究計画では細胞極性制御に関わる分子ターゲットの同定に向けた新たな解析系を構築しつつ、現存する実験系でこれまでに得られてきた成果をさらに発展させる事を目的としている。解析系として、①胚発生過程の形態遺伝学的解析、②コンディショナル・ノックアウトマウスからのES細胞株の樹立、③細胞・器官原基の初代培養系での形態学的・生化学的解析、の3種の解析系の結果を逐次総合して見直すことで研究の効率化を図り、より確実に研究目的を達成するための方法論・解析系の構築する。①胚発生過程の形態遺伝学的解析を進める。また、得られた表現型の原因となる事象を検索する目的で、組織形態学的解析(免疫組織化学、in situ hybridization法など)を行う。さらに、マウスの遺伝学では実施することが困難な、ノックダウン-レスキューの実験系を、アフリカツメガエル胚に対するマイクロインジェクション法を用いた表現型解析により行う。②全能性幹細胞での解析を行う準備として、着床前胚からのES細胞株の樹立を試行する。本研究の目的の為にはSerum/Feeder-Freeの条件を設定することが必要である。申請者は着床前胚の操作およびES細胞の取り扱いについては経験があるが、実験に使用するマウスコロニーの遺伝学的背景により樹立の効率に影響があることが報告されており、試行錯誤が必要である。 さらに、③成獣もしくは胚から採取した細胞・器官原基の初代培養系での形態学的・生化学的解析を平行して行う。これらの解析により、将来的に行うES細胞株を用いた生化学的・分子生物学的解析の条件設定を行う。さらに予備的な結果から得られる知見をもとに、細胞極性制御に関わる分子ターゲットの絞り込みを行い、新たな解析系の構築を模索する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では解析系として、①胚発生過程の形態遺伝学的解析、②コンディショナル・ノックアウトマウスからのES細胞株の樹立、③細胞・器官原基の初代培養系での形態学的・生化学的解析を軸として遂行している。本年度は①マウス胚発生過程の形態遺伝学的解析に軸を置いた解析を実施し、統計学的に有意な形態形成遺伝学的結果を得るに至った。アフリカツメガエル胚に対するマイクロインジェクション法を用いて表現型の解析においては、予想を上回る成果を得ており、さらなる解析を施行中である。②コンディショナル・ノックアウトマウスからのES細胞株の樹立については、樹立する予定の3系統のうち、1系統については樹立に成功した。現在凍結保存し他の系統の樹立を引き続き試行中である。③細胞・器官原基の初代培養系での形態学的・生化学的解析については、レンチウィルスベクターを用いた効率的な遺伝子導入法に改良し、初代培養系からの細胞株樹立の効率が飛躍的に向上した。これまでに3系統のうち、既に2系統の樹立が成功している。また、既に樹立してあった細胞株を用いてプロテオミクス解析を行い、本計画の目的である細胞極性ターゲット分子の候補を既に複数得ている。より確かな結果を得るために、今後さらなる解析を続行する。
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今後の研究の推進方策 |
①胚発生過程の形態遺伝学的解析については、マウスを用いた遺伝学的についてはほぼ終了しており、アフリカツメガエル胚に対するマイクロインジェクション法による解析系に注力している。本研究の目的である、細胞極性を制御するターゲット分子の候補として、aPKCとDaam1に共通して結合するタンパク質を生化学的に同定した。この候補タンパク質の機能的な関わりが明らかになった時点で、論文として発表する予定である。②コンディショナル・ノックアウトマウスからのES細胞株の樹立、③細胞・器官原基の初代培養系での形態学的・生化学的解析については、昨年度までは実験解析系の樹立に時間と労力を割くことが多かった。本年度は、昨年度に試行錯誤して得られた経験を元とし、さらに効果的に研究材料の作製を行う。また、既に得られているES細胞株、初代培養系での実験系において、来年度以降実際に行う解析系の条件検討を行う予定である。また、今年度は今後頻繁に解析を行う予定である、プロテオミクスの実験系の情報収集の為にThe 12th Human Proteome Organisation World Congress (12th HUPO)で発表する予定である。また、ES細胞株を用いた分化誘導系の確立のために、新学術領域「細胞コミュニティー」の国際シンポジウムThe 61st NIBB Conference "Cellular Community in Mammalian Embryogenesis" 班友として参加し情報収集する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は、研究継続のための消耗品費、学会出席のための旅費、論文校正・投稿費として使用予定である。なお、平成24年度に46円の繰越金が発生しているが、消耗品(試薬など)を購入するには足りない金額であったためであり、平成25年度の研究費と併せて使用する予定である。
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