研究課題/領域番号 |
24590238
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
山岸 敏之 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60255122)
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キーワード | 発生 / 心臓 |
研究概要 |
心内膜床は将来の中隔や弁を形成する原基であり、胚心臓の房室管(心房と心室の間)および流出路に形成される。心内膜床は、原始心筒の心内皮細胞が心筋細胞からのシグナル分子により間葉に分化し、形成される(上皮-間葉形質転換)。これまでに心筋からのシグナル分子としてBMP(骨形成因子)を同定したが、間葉形成にはBMPの他に wntシグナル(βカテニンを経由)が必要であることを明らかにしつつある。しかし、心臓に発現する既知のwntは間葉形成を誘導しなかった。一方、分泌因子Rspo3はwntシグナルを活性化する可能性が指摘されている。本研究では、心内皮細胞の間葉への形質転換におけるRspo3の役割を明らかにすることを目的にしている。昨年度はニワトリRspo3遺伝子の全領域をクローニングし、ニワトリ胚心臓での発現を明らかにするためwhole mount in situ ハイブリダイゼーションを行った。その結果、Rspo3 mRNAは房室管領域の心内膜床に発現していたが、心筋での発現は見られなかった。この結果から、ニワトリ胚においてRspo3 は心筋細胞からの心内皮細胞形質転換誘導シグナルである可能性は低いものの、自己分泌的に形質転換を誘導している可能性が予想された。本年度は、組み換えタンパク質のRspo3を使い、心内膜床の生物検定でRspo3の機能活性の検討を行った。BMPとRspo3を同時に加えたところ、心内皮細胞は遊走したがゲル内に侵入した細胞(間葉)は少なかった。この結果から、心内皮細胞の完全な形質転換にはRspo3の他にも液性分子が作用している可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
近年、ニワトリ胚で使われているトランスポゾンを用いたゲノムへの遺伝子導入法を検討したため計画に遅れが出た。また次年度に予定しているsiRNAによるRspo3機能阻害実験のために、エレクトロポレーション法によるsiRNA導入の条件検討をおこなった。これまでのところ、コントロール実験において適した条件が見つかっていない。
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今後の研究の推進方策 |
1.Rspo3の詳細な発現を調べるため、mRNAの局在を組織レベルで解析する。そのため、切片によるin situ hybridizationを行い、組織学的観察をおこなう。同様にRspo2の発現の詳細も明らかにしたい。 2.心内膜床形成でのRspo3の関与を明らかにするため、機能阻害実験を行う。機能阻害は計画通りに合成siRNAを使用する。 (1)siRNAの導入方法の検討を行う。これまでにエレクトロポレーション法による導入実験の検討をしているが、脂質系試薬を用いた導入法の検討も行う。 (2)(1)の条件が決まり次第、培養液中にsiRNAを加え48時間培養し、ゲル内部の間葉の有無で形質転換を判定する。また、これらの細胞について、内皮細胞のマーカー分子(細胞接着分子[VE-カドヘリン])や間葉のマーカー分子(細胞骨格[α平滑筋アクチン]など)の増減をRT-PCR法や免疫組織化学法などにより調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究進行の遅れにより25年度に購入を予定していたミクロトームの購入ができなかった。 25年度に購入しなかったミクロトームの購入を26年度に行う予定である。また、培養に使用する培養液や試薬、分子生物学的実験、細胞生物学的実験に使用する試薬、消耗品の購入を予定している。さらに研究成果(途中経過)の発表および情報収集のために海外の学会への参加を検討している。
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