研究課題/領域番号 |
24590239
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
鶴尾 吉宏 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (90207449)
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研究分担者 |
山本 悠太 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (00580672)
伊藤 隆雄 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (30315931)
上山 敬司 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (50264875)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 神経ステロイド / 微小環境 / 痛覚 / 情報伝達 / 発達 |
研究概要 |
本研究は、GABA-A受容体と結合して鎮痛作用を示す神経ステロイドの産生に関与するステロイド代謝酵素の発現とその局在について脊髄と脊髄神経節を中心に形態学的に明らかにするのが目的である。そのために、神経ステロイドの作用を決定づける細胞内の塩素イオン濃度を制御する陽イオン-塩素イオン-共輸送体分子の変化あるいはGABA-A受容体との関連が考えられる神経ステロイドを代謝するいくつかの酵素の発現を調べるために、新たに作製した抗体を含めて検討を行った。これまで、神経ステロイド代謝酵素の局在についての形態学的な報告はいくつかあるが、局在が明確ではないことが多く、5α-reductase については2種類のアイソフォームがあり、神経系では1型が優位であるが、2型の存在も示唆されてはいるが、形態学的解析は十分でない。また、3α-hydroxysteroid dehydrogenase (3α-HSD)、についても、4種類のアイソフォームがあり、aldo-keto reductase スーパーファミリーに属する類似した他酵素との識別が難しく、抗体を用いて細胞レベルでの局在を特定できていなかった。そこで、鎮痛作用を示す神経ステロイドの産生に関与する5α-reductase、3α-HSDなどの代謝酵素について新たに特異抗体を作製し、その局在等について検討した結果、今回新たに作製した抗体が、神経ステロイド代謝酵素を各々特異的に認識することを生化学的および組織化学的に確認し、代謝酵素の発現がそれぞれに特有な局在を示すことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度は、GABA-A受容体と結合して鎮痛作用を示す神経ステロイドの産生に関与するステロイド代謝酵素の発現とその局在についての組織学的な解析までにとどまっており、達成度は十分ではなく、さらに詳細な解析を進める必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
組織学的な解析から、機能を絡めた解析を進める予定である。そのため、鎮痛作用を示す神経ステロイドの産生に関与するステロイド代謝酵素のタンパクおよびmRNAレベルでの局在を免疫組織化学およびin situ hybridization法などによって明らかにすることに加えて、特定した神経ステロイド産生細胞において、細胞内の塩素イオン濃度を調節する陽イオン-塩素イオン-共輸送体分子である、NKCC1、KCC1~4 の局在を特定し、胎生期から生後早期さらに成熟期に至る発達過程に伴うこれら分子の局在と発現量の変化および神経ステロイドの産生量を、培養や薄層クロマトグラフィーなどの生化学的な手法を用いて解析する。さらに、複数の疼痛モデル動物を用いることによって、関与するステロイド代謝酵素と陽イオン-塩素イオン-共輸送体分子などとの機能的関連性について解析を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
鎮痛作用を示す神経ステロイドの機能を明らかにするための組織学的な解析と分子生物学的な解析に必要な試薬や器具などを購入する。また、複数の頭痛モデル動物を作製するために実験動物の購入と飼育が必要である。
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