研究課題/領域番号 |
24590240
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
高野 和敬 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (80364769)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 原腸胚 / 初期発生 / 形態形成 / 細胞運動 / カルシウムイオン / 細胞骨格 / 両生類 / イモリ |
研究実績の概要 |
原腸陥入を中心とする「原腸胚形成」は多細胞動物の形づくりにおいて極めて重要な現象であるにもかかわらず、現在まで、そのメカニズムの実質的な解明が進んでいない。本研究課題では、単離胚細胞がみせる振る舞いの解析を通して、原腸胚形成のしくみを明らかにする目的で研究を進めている。これまでに、本研究課題による研究により、原腸陥入が起きる時期に両生類の胚細胞を単離すると、予定外胚葉細胞では自律的なブレッブ形成と、その周転運動がみられ、予定中胚葉および内胚葉細胞の多くは自律的にシリンダー状に細長く伸長すること、および、それらがカルシウムイオンを介した細胞骨格の再構築により制御されていることが示唆された。本年度の研究では、「自律的かつ胚葉特異的な細胞運動が原腸胚形成に果たす役割」についてさらに解析を進めた。その結果、予定外胚葉細胞でみられる細胞運動と予定中胚葉および内胚葉細胞でみられる細胞運動では、それぞれ異なるカルシウムシグナル系を介して細胞骨格(アクトミオシン系)の再構築が行われることで特異的な細胞運動が行われていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、前年度の成果を踏まえて、原腸胚細胞の「自律的かつ胚葉特異的な細胞運動が原腸胚形成に果たす役割」について解析を進め、一定の成果を得ることが出来た。また、本年度は、研究代表者が所属大学の教員留学制度により、5月から3カ月間にわたりイタリアのローマ大学医学部へ医学教育および医学研究目的での留学を通して、形態学的解析法について新たに技術を習得する機会を得た。習得した技術を用いることでより詳細な解析が可能と考えられるため、最終年度である次年度の研究を遂行する上で、得られる研究成果をより一層充実したものにすることができると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に引き続き次年度は、原腸胚細胞の「自律的かつ胚葉特異的な細胞運動が原腸胚形成に果たす役割」について研究を遂行する。これまでの研究成果を踏まえ、さらに留学により習得した研究技術も含め総合的な解析を行い研究成果を充実させる。得られた結果を統合することで、自律的かつ胚葉特異的な細胞運動が原腸胚形成に果たす役割の解明を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、研究代表者が所属大学の教員留学制度により、5月から3カ月間にわたりイタリアのローマ大学医学部へ医学教育および医学研究目的で留学したため、留学期間の研究経費について未使用額が生じた。また、2015年3月21日~23日に兵庫県神戸市で開催された「第120回 日本解剖学会総会・全国学術集会 第92回 日本生理学会大会 合同大会」において本年度の研究成果について発表を行ったが、学会開催期間が年度末であるため成果発表経費の支払い手続きが翌年度4月以降となるため、そのための経費が未使用額として生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
未精算の成果発表経費は次年度に速やかに支払手続きを行う。その経費を支出して残る未使用額については、得られる研究成果をより一層充実させるための効率的かつ効果的な研究遂行に必要な、試薬類などの物品購入や実験動物採集および成果発表にかかる経費に充当して適切に使用する予定である。
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