研究課題/領域番号 |
24590241
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研究機関 | 桐生大学 |
研究代表者 |
影山 晴秋 桐生大学, 医療保健学部, 准教授 (00433839)
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研究分担者 |
塩田 清二 昭和大学, 医学部, 教授 (80102375)
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キーワード | ニューロンネットワーク / 摂食調節 / 求心性ニューロン / Cre-loxPシステム / 多重免疫染色 / ガラニン様ペプチド |
研究概要 |
ガラニン様ペプチド(GALP)は摂食調節とエネルギー代謝に深く関わっているペプチドである。これまでに我々は摂食調節に関わるニューロンネットワークを他の摂食調節ペプチドで行い報告してきた。当該研究で標的にしているGALPについてもラットでニューロンネットワークの解析を行ってきたが、網羅的な解析は行っていない。 当該研究ではGALPニューロンを形態学的に解析するために、タモキシン誘導性Cre-loxPシステムによってGALP発現細胞特異的に逆行性輸送機能を付加した緑色蛍光タンパク質(GFP)とGALP発現細胞の核に移行する機能を持たせたβガラクトシダーゼの2つ遺伝子を同時に共発現する遺伝子改変マウスを用いて、GALPニューロンに対する逆行性ニューロンの同定を行った。この遺伝子改変マウスにタモキシフェンを投与後、灌流固定し凍結切片を作製した。抗GFP抗体および抗βガラクトシダーゼ抗体による免疫二重染色を行い、抗GFP抗体免疫陽性細胞かつ抗βガラクトシダーゼ抗体免疫陰性細胞のニューロンをGALPニューロンに対する求心性ニューロンとし、観察・同定を行った。その結果、視床下部室傍核、弓状核、小脳のプルキンエ細胞、内側手綱核、中隔および内側視索前野にあるニューロンがGALPに対する求心性ニューロンであると同定された。 GALPは視床下部弓状核内でネットワークを構築していること、視床下部室傍核からの支配を受けていること、さらにはオス型交尾に関わっていると報告がある内側視索前野からの支配を受けていることが明らかになり、GALPニューロンは種々の生理的な行動を中継するニューロンであると示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該研究ではマウスにおけるGALP産生ニューロンの分布・局在を同定し、さらにGALP産生ニューロンを支配している求心性ニューロンの同定を行うことを目的としている。 今年度はGALPに対する求心性ニューロンの同定を行い、求心性ニューロンが視床下部室傍核、弓状核、小脳のプルキンエ細胞、内側手綱核、中隔および内側視索前野に存在しているところまで同定した。さらに求心性ニューロンがどのような性質(どのような神経ペプチドや神経伝達物質を産生してるのか)なのかを同定しようと計画していたが、求心性ニューロンの性質同定にまで至らなかった。当該年度は求心性ニューロンの起始部位の同定を行うことが、最優先目標であったことから、今年度の目標をほぼ達成したと自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は平成25年度では同定できなかった求心性ニューロンの性質を同定するために、起始部位として同定された神経核の特性に基づき、抗GFP抗体と抗βガラクトシダーゼ抗体にさらに抗バソプレシン抗体や抗チロシン水酸化酵素抗体などを用いた三重免疫染色をおこなうことで、どのような性質を持つニューロンが求心性ニューロンなのかを同定する。さらにエネルギー代謝を増加させる目的で運動を行ったマウスにGALPを投与したときの代謝を調べる。さらに外部刺激をマウスに与えた場合、どの神経核にあるGALPニューロンが活性化するのかを抗cFos抗体を用いて抗GFP抗体と抗βガラクトシダーゼ抗体との3重免疫染色を行い、GALPニューロンの活性化経路について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の目標である求心性ニューロンの同定は順調に進んでいるが、前年度からの繰越金をその求心性ニューロンの性質を同定するために使用する抗体の購入にあてることを計画していた。また申請時に米国神経科学会の旅費を計上していたので、繰越金がなくなると計画していた。しかしながら、遺伝子改変マウスの交配がうまく行かなかったことで実験が思うように進まなかったことや、大学の講義の日程とうまく調整できなかったので、学会に参加することができなかった。以上の理由で前年度からの繰越金が残ってしまい当該助成金が発生してしまった。 次年度は求心性ニューロンの性質を同定することを計画しているので、抗体を多く購入することに使用する。また外部刺激に使用するペプチド(レプチン、GALP、NPYなど)の購入のために使用する。また今年度は最終年度であるので、論文作成時における英文校正に使用する予定である。
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