研究課題
ヒトの癌性胸腹水症例の病態を再現しうる実験動物モデルとして,マウス,ラット,ウサギを取り上げ,これらの動物の違いを比較解剖学的に調査・検討した.その結果,漿膜の機能形態学的特徴や,リンパ管小孔,リンパ管,リンパ節の解剖学的分布に関して,マウス,ラットよりもウサギのほうがヒトにより近い可能性があることが示唆された.ウサギVX2癌細胞にEnhanced Green Fluorescent Protein (EGFP) 遺伝子を導入し,癌細胞のみが特異的にEGFPを発現する継代移植可能なウサギVX2担癌モデルを作製した.この新しい同種移植担癌モデルでは,癌細胞と非癌細胞との鑑別が従来のVX2担癌モデルよりも容易となり,また,従来のVX2担癌モデルと比較して,癌の生物学的悪性度や細胞形態に有意差がないことが確かめられた.さらにまた,静脈角リンパ節の位置する鎖骨上窩に癌細胞を移植することにより,癌の局所進展・浸潤によるリンパのうっ滞を作り出すことができ,また,胸膜への多発転移病巣と胸水貯留の病態を作り出すことができた.
2: おおむね順調に進展している
ヒトの癌性胸腹水の病態を再現しうる,継代移植可能なEnhanced Green Fluorescent Proteinを発現するVX2ウサギ担癌モデルの作製に成功した.
(1) 担癌ウサギモデルを用いて,リンパ管小孔を介する癌の転移機構を調べる.(2) 生理的・病的条件下におけるヒトのリンパ管小孔の超微形態学的特徴を明らかにする.(3) 本年度に引き続き,これまでの研究成果を論文にし,査読付き国際的医学雑誌へ論文を投稿する.
本年度内の物品の購入が計画当初の予定よりも少なかったことや,投稿し受理された論文の雑誌掲載費用やカラー印刷代等の請求が本年度内にこなかったこと等が主な理由と考えられる.(1) 担癌ウサギモデルを用いたリンパ管小孔を介する癌の転移機構を調べるために必要な物品の購入費,および研究協力者への謝金等に研究費を使用する.(2) ヒトのリンパ管小孔の超微形態学的特徴を明らかにするための物品の購入費,および研究協力者への謝金等に研究費を使用する.(3) 研究成果の学会発表,および論文の執筆から出版までの過程でかかる諸費用として研究費を使用する.
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (8件)
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