研究課題
リンパ節は種々の免疫細胞およびストローマ(支持)細胞から成る組織であり、特にストローマ細胞のなかでも繊維芽様細網細胞は、リンパ節組織実質内を移動するリンパ球の足場として機能するなどリンパ球の機能制御に密接に関与する。しかし、繊維芽様細網細胞がリンパ球の運動性を制御する分子機構については不明な点が多く残されている。私たちは前年度までにリゾリン脂質のひとつリゾホスファチジン酸 (LPA) を産生する細胞外酵素オートタキシンがリンパ節の繊維芽様細網細胞に高発現することを見出した。本年度、私たちはイメージング質量分析により、LPAはリンパ節のなかでも繊維芽様細網細胞に富む傍皮質領域に多く存在することを見出した。LPAのリンパ球への作用を検討するため、生体二光子顕微鏡解析を行った結果、LPA受容体LPA2を欠損するT細胞は、野生型の細胞に比べてリンパ節内における運動性が低下した。一方、in vitroの実験系により、LPA-LPA2を介したシグナルは、特に3次元において狭い間隙を通過する際のリンパ球移動に重要な役割を果たすことが明らかになった。さらに、LPA2を介したシグナルはRho-ROCK-actomyosin経路を活性化させることが示された。以上より、繊維芽様細網細胞が産生するオートタキシン/LPAは、リンパ球上のLPA2を介して、稠密な空間における細胞運動性を制御することにより、リンパ節組織実質におけるリンパ球の効率的な移動を促進すると考えられた。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)
Immunity
巻: 42 ページ: 279-293
10.1016/j.immuni.2015.01.015.
Nat Immunol.
巻: 16 ページ: 386-396
10.1038/ni.3101.
Nat Commun.
巻: 5 ページ: 4710
10.1038/ncomms5710.