研究課題/領域番号 |
24590253
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
海藤 俊行 鳥取大学, 医学部, 教授 (70268837)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 皮膚 / 感覚受容器 / チャネル分子 / 接着分子 / アトピー性皮膚炎 / 神経 / 機械受容器 |
研究概要 |
1.正常皮膚感覚受容器におけるチャネル分子等の発現解析:皮膚感覚受容器に対して各種チャネル分子ファミリーの抗体を作用させて、免疫電顕(ナノゴールド銀増感法)等により各分子の局在を検討した。最も明瞭に反応が検出できたのは、陽イオンチャネルFAM38Bである。柵状神経終末の軸索・シュワン細胞複合体におけるFAM38Bの陽性反応は、主に軸索の細胞膜の裏打ちと細胞質に認められた。軸索のFAM38Bの分布を統計的に解析したところ、細胞膜の陽性率は軸索側面で高値であった。本研究によりFAM38Bは、柵状神経終末を構成する軸索・シュワン細胞複合体において軸索側面の細胞膜に分布することが初めて明らかになった。毛の柵状神経終末に対する機械刺激は軸索側面の細胞膜の変形によりFAM38Bイオンチャネルを開いて陽イオン電流を引き起こすと推測され、これにより柵状神経終末は速順応性機械受容器として機能すると考えられた。 また、細胞膜における接着分子では、パチニ小体やマイスナー小体でN-カドヘリンおよびβ1インテグリンの発現が確認された。パチニ小体では、棒状の軸索・シュワン細胞複合体を構成する神経終末とシュワン細胞の接着面の端にのみ陽性であったが、マイスナー小体では接着面全体に陽性反応が分散する傾向があり、マイスナー小体のらせん状神経終末の形成に関与する可能性が示唆された。 2.アトピー性皮膚炎発症マウスの皮膚感覚受容器における分子発現解析:アトピー性皮膚炎を発症するトランスジェニックマウスの製造会社が変更になったため、数ヶ月にわたり当該マウスの入手ができなくなり皮膚炎モデルの作製が遅れたが、現在までに、当該マウスを入手して皮膚炎を発症させることに成功し、皮膚感覚受容器における分子発現の検討を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
正常皮膚感覚受容器におけるチャネル分子等の発現解析については、おおむね順調に進展しているが、アトピー性皮膚炎発症マウスの皮膚感覚受容器における分子発現解析については、アトピー性皮膚炎を発症するトランスジェニックマウスの製造会社がマウスの権利を別会社に譲渡したため、数ヶ月にわたり当該マウスの入手ができなくなり皮膚炎モデルの作製が遅れてしまった。しかし、平成24年度末に当該マウスを入手することができて、その後、皮膚炎を発症させることに成功し、皮膚感覚受容器における分子発現の検討を開始している。
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今後の研究の推進方策 |
正常皮膚感覚受容器におけるチャネル分子等の発現解析については、平成24年度の研究を継続していく。特に、陽イオンチャネル分子の発現に関する研究成果は価値あるものであり、更に成果を補充して、論文発表につなげていきたい。また、アトピー性皮膚炎発症マウスの皮膚感覚受容器における分子発現解析などのトランスジェニックマウスを使用した実験については、今後、分子発現の検討を行い一層の推進に努めていく所存である。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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