研究課題/領域番号 |
24590254
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
小林 直人 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50234836)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | プロサポシン / 神経栄養因子 / タイムラプス / 細胞培養 / 蛍光色素 |
研究概要 |
申請者のグループは脂質代謝関連蛋白プロサポシン(PS)が強力な神経栄養作用も有することを世界に先駆けて発表した。申請者は、タイムラプス記録法により生理活性物質の細胞内動態を研究してきた。研究では、このプロサポシン由来合成ペプチドに蛍光色素を結合させ(PS-18FAM)、培養神経細胞を用いて、タイムラプス記録法によりの神経細胞での動態を明らかにし、その細胞内伝達機構を解明するのが目的である。 本年度の研究ではヒト SH-SY5Y neuroblastoma cellの培養系を用い、神経毒性のあるMPP+を投与することによりパーキンソン病のモデルを作製し、これにPS-18FAMを投与して細胞内への取り組みや細胞内での動態をタイムラプス記録法により検討した。その結果、PS-18FAMは神経細胞に取り込まれ、コントロールとして用いたスクランブル配列のPS-18FAM(scPS-18FAM)に比較して多くの取り込みが認められた。さらに、興味深いことはMPP+を投与した細胞では取り込まれたPS-18FAMの細胞内濃度が急激に減少しており、このことは、障害を受けた神経細胞内ではPS は急激に消費されることを示しているものと思われる。 今後は、外部から投与したS-18FAMのみならず、遺伝子導入によりPS-FAMを強制発現させた細胞を用いて、PSの細胞内動態を研究したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究ではヒト SH-SY5Y の培養系を用い、MPP+投与によりパーキンソン病のモデルを作製し、これにPS-18FAMを投与して細胞内への取り組みや細胞内での動態をタイムラプス記録法により検討した。
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今後の研究の推進方策 |
上記のように、研究はおおむね順調に進展している。ただし、外部から投与したPS-18FAMはライソゾーム内で蛍光が弱まり、その後の細胞内動態を追跡することは難しい。今後は、外部から投与したS-18FAMのみならず、遺伝子導入によりPSを強制発現させた細胞を用いて、PSの細胞内動態を研究したい。導入方法はすでに完成しており、これについては春の解剖学会に報告済みである。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度は、幸い、従来から用いていた手法により研究のほとんどが達成出来たので、研究費に余裕が出来た。昨年度の段階で、PSを強制発現させた細胞を用いて、PSの細胞内動態を研究することを試行した。その中で、PSを強制発現させた場合に、強発現細胞、弱発現細胞と無発現細胞ができることが判明した。従って、これらの細胞の変化を経時的に観察する為には多点を経時的に撮影し記録するプログラムが有効である。そこで、この高価なプログラム(90万円)を購入する為に、昨年は55万円の繰越金を捻出した。今年度の研究費の中で、本プログラムの支出が主となる。それ以外は培養系に必要な消耗品がほとんどである。
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