研究課題/領域番号 |
24590256
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
増田 知之 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (70372828)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 細胞・組織 / 発生・分化 / 神経科学 / 脳・神経 / マイクロアレイ |
研究実績の概要 |
発生期の脊髄神経節(DRG)ニューロンの中枢枝は脊髄背側による軸索誘引作用によって脊髄内に侵入するが,その分子実体は不明である.また,運動神経と合流し,背筋・真皮に伸長する末梢枝(脊髄神経後枝)の投射路形成メカニズムも,その詳細はよくわかっていない.研究代表者は,マイクロアレイとデータベースを用いたスクリーニングによって,神経の軸索誘導に関与する可能性のある新規・既知遺伝子を多数同定した.その後の解析を通じて,対象を5つの分子に絞り込みつつある. 今年度は組織培養による解析を行い,5つの分子(ハンチントン病関連遺伝子のhip1r,セマフォリンファミリー分子のSema5AとSema5B,Follistatin-like 5,およびAdamts 16)のうち,hip1rを除く4つの分子がin vitroでDRGニューロンの軸索をガイドする(誘引もしくは反発)活性を有することを突き止めた.さらに,電気穿孔法を用いた生体内への遺伝子導入システムにより,上記5つの分子の生体内での軸索誘導作用の詳細を検討した結果,in vitroで突き止めた軸索ガイド作用を裏付けるようなデータが得られつつある.次年度には遺伝子抑制実験も行うことで,さらなる追究を進めたいと考えている. また今年度は,異動に伴う実験環境の変更により,ウイルスを用いた実験を申請・実施できる設備・施設を失ったため,ウイルス感染実験の実施は中止せざるを得なかった.次年度以降のウイルス実験に向けて,現在着々と環境の整備および実験の申請を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
年度途中で,獨協医科大学から筑波大学に異動したため,研究設備・環境に大幅な変更が生じ,当初予定していた作業工程の一部を行うことができなかった.その結果,当初の予定と比較してやや進行に遅れが生じている.
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今後の研究の推進方策 |
次年度では,今年度に計画していながら設備等の点で実施できなかったin vivoでの遺伝子抑制解析を中心に実験を推し進めたいと考えている.また,ウイルス感染実験に関しては,ウイルス実験用の部屋と設備を現在構築中であり,次年度に実施したいと考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の未使用額は,全体からみると少額(14,256円)であり,今年度末に不急の消耗品を購入するよりも,次年度に回した方が助成金を有効に活用できると判断したため.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の助成金の一部として有効に活用したい.
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