発生期の脊髄神経節細胞 (DRG) から伸び出す神経軸索のうち,中枢枝は脊髄背側からの軸索誘引作用によって脊髄に侵入することが知られているが,その分子実体はわかっていない.また,運動神経軸索と合流し,背筋・真皮に伸長する末梢枝(脊髄神経後枝)の投射路形成メカニズムも,依然としてその詳細は不明である.研究代表者は,マイクロアレイとデータベースを用いたスクリーニングによって,軸索誘導に関与する可能性のある新規・既知遺伝子を同定した.その後の解析を通じて,対象を5つの分子に絞り込んでいる. 今年度は昨年度から開始していた電気穿孔法による生体内への遺伝子導入システムによる実験をさらに推し進めるとともに,アデノ随伴ウイルスベクターを用いた解析も併用し,5つの分子の生体内での機能を解析した.並行して行う予定であった遺伝子抑制実験は,各種遺伝子抑制ベクターを作製する研究費が尽きてしまい,その実行は次年度以降への持ち越しとなった. また,本年度は最終年度にあたるため,積極的に学会にて本研究の成果を発表し,5つの分子のうちの1つであるSema5Aについては,研究成果を原著論文で発表した.
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