研究課題
研究代表者は、これまでインスリン非依存性糖尿病モデルGKラットの腎臓においてタンパク質への糖修飾(O-GlcNAc化)が亢進することを明らかにした。さらに、腎臓まるごとを試料にしたプロテオミクスにより、O-GlcNAc化タンパク質の解析を行い、アクチン、α-アクチニン4など細胞骨格タンパク質や、ATP合成酵素などミトコンドリアタンパク質にO-GlcNAc化の有意な増加が生ずることを見出した。最終年度は、さらに糸球体構成タンパク質へのO-GlcNAc化の変化を調べるため、糸球体を単離し、プロテオミクスによりO-GlcNAc化タンパク質の解析を行った。その結果、上記の細胞骨格やミトコンドリアタンパク質に加えて糸球体上皮細胞に特異的に発現するシナプトポディンにO-GlcNAc化が起こることが明らかになった。また昨年度の研究より、糖尿病においてO-GlcNAc化アクチニン4とO-GlcNAc化アクチンとの相互作用の増加が観察され、培養糸球体上皮細胞において、O-GlcNAc化の増加は、ストレスファイバーならびに細胞突起の形成を阻害することが明らかになったことから、本年度はO-GlcNAc化アクチンに対する抗体を作製した。今後、この抗体を用いてO-GlcNAc化に伴うアクチンの局在の変化について検討する予定である。さらに本年度、細胞外マトリックスの構成タンパク質へのO-GlcNAc化をプロテオミスにより検討したところ、ガレクチンがO-GlcNAc化されていることが明らかになった。研究代表者らは、既にガレクチンが糸球体基底膜に局在することを免疫電顕で明らかにしている。これらのことから、ガレクチンのO-GlcNAc化と糖尿病性腎症で生ずる基底膜の形態変化との関係が示唆された。
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