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2012 年度 実施状況報告書

線毛発生における基底小体からの線毛伸長のon/off制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24590261
研究種目

基盤研究(C)

研究機関帝京大学

研究代表者

萩原 治夫  帝京大学, 医学部, 教授 (80189464)

研究分担者 鈴木 健史  札幌医科大学, 医療人育成センター, 准教授 (00261868)
有澤 謙二郎  帝京大学, 医学部, 助教 (40582846)
浅野 安信  帝京大学, 医学部, 助教 (70459311)
中倉 敬  帝京大学, 医学部, 助教 (60568658)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード線毛 / 基底小体 / 線毛形成 / アセチル化チューブリン
研究概要

線毛アクソネーム微小管のチュブーリンアセチル化は、線毛形成と線毛構造保持に重要な因子である。チューブリンのアセチル化には、アセチル化酵素と脱アセチル化酵素が関与する。アルファチューブリンアセチル化酵素(Mec17/alphaTAT1)のRAEGDIKPYSSSDRE配列を抗原として用いて特異抗体を作製した。
我々の作製した抗Mec17抗体と市販の抗Mec17抗体、チューブリン脱アセチル化酵素(HDAC6)に対する抗体、および線毛、中心体、微小管、細胞内小器官関連分子に対する抗体を用いて、GFAP-Mec17/alphaTAT1導入細胞、各種の培養細胞系および線毛形成細胞などで目的タンパク質を分子解剖学的に解析した。HDAC6は細胞質内にびまん性に発現し、アセチル化チュブリンとの局在についての規則性は認められなかった。GFAP-Mec17/alphaTAT1導入3Y1-B 細胞では、Mec17は、細胞質内の微小顆粒状構造として観察されたが、ヒト線維芽細胞ではMec17は細胞分裂時の紡錘体に加えて一次線毛を伸長した基底小体の基部領域に強く発現し、線毛形成に深く関係することが考えられた。また、Mec17の発現は長期間培養系で高まり、線毛伸長に加えて線毛の構造維持にも重要な役割を演じると考えられた。
リチウム投与時のチューブリンアセチル化酵素(Mec17)と脱アセチル化酵素(HDAC6)発現について、細胞生物学的に解析した。リチウム投与に反応して細胞内アセチル化チューブリンの著名な増加が観察されたものの、HDAC6とMec17はともに発現が低下し、リチウムによる線毛伸長に未知のチューブリンアセチル化関連因子の存在が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

チューブリンアセチル化酵素の発現解析については、おおむね当初計画通りに達成できた。アルファチューブリンアセチル化酵素(Mec17/alphaTAT1)のアミノ酸配列の227番目から241番目(RAEGDIKPYSSSDRE)を動物に注射し、特異抗体を作製することができた。作製抗体および市販抗体を用いた免疫組織化学により、一次線毛を発現する培養細胞系でのMec17/alphaTAT1の細胞内局在について明らかにすることができた。線毛発生細胞における発現については、現在解析中である。
培養細胞におけるMec17発現解析で、細胞分裂細胞の紡錘体におけるMec17の局在を明らかにすることができた。今回の実験計画で得られた2次的データであるものの、微小管のチューブリンアセチル化制御機構を解明する上で重要な知見であると考えている。
線毛細胞での発現が知られている分子の、線毛発生細胞における解析については、当初計画通りに実験がすすまず遅れが出てしまった。これは、チューブリンアセチル化酵素の発現解析に想定以上の時間を要したことや抗体の入手に時間を要したこと、リチウム投与時のチューブリンアセチル化酵素(Mec17)と脱アセチル化酵素(HDAC6)発現動態についての解析に時間を要したことなどによる。実験計画の進捗に滞った点もあり反省すべき点もあるが、現時点で解析を進められる段階に来ており遅れを取り戻すことができると思われる。

今後の研究の推進方策

これまでのMec17についての実験で、線毛形成に関連した成果が得られているので、Mec17/alphaTAT1およびHDAC6を引き続き対象にして、免疫電顕法を用いた形態学的手法等により、これらの細胞内局在を明らかにする。
Mec17およびHDAC6の細胞内局在が解明できたら、これら遺伝子の発現抑制が線毛形成に及ぼす効果について解析する。RNAi法により、遺伝子発現をノックダウンさせ、免疫組織化学的手法、リアルタイムRT-PCR法、細胞生物学的手法による解析を加えて線毛形成に及ぼす効果について解明する。免疫組織化学では、基底小体・線毛関連分子に対する抗体を利用する。Mec17が線毛形成の初期調節因子として重要な役割を果たしていることを裏付ける成果が得られた場合は、さらに免疫沈降法で相互作用する分子について探求する。
中心体構成分子は、線毛形成に密接にかかわっていることが考えられている。前年度で遅れていた実験計画であるが、線毛発生細胞における中心体構成分子の発現動態を分子解剖学的に解析する。複製基底小体の遠位端への局在が明らかになった分子については、遺伝子のノックダウン、あるいは線毛非発現系細胞に該当遺伝子を導入し、線毛形成に及ぼす影響を解析する。線毛伸長の初期過程を調節している因子と考えられるタンパク質については、さらに相互作用する分子について追及する。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度は、直接経費として繰越金を含めて総額約138万円が計上されている。本研究の実施に必要な電子顕微鏡、共焦点顕微鏡、細胞培養機器、分子細胞学的解析機器などの大型機器は大学の共通機器室と所属講座に配備されているので、これらを利用する。50万円以上の機器の購入予定はない。
研究費は、繰越金を含め、消耗品の購入と研究成果の発表にあてる。分子生物実験試薬に25万円、細胞分析調製試薬に25万円、免疫組織化学用試薬に10万円、電子顕微鏡解析試薬に10万円、培養器具に5万円、実験動物に15万円をあて、残りの20万円を、シャーレ、チップ、チューブなどの実験用消耗品にあてる。消耗品費の計上額は、総額で110万円になり、研究を遂行する上で妥当な額であると考えられる。
研究成果を国内学会および学術雑誌に発表する。国内の学会参加費に15万円、研究の打ち合わせに5万円、論文作成に8万円を充てる。設備備品費、旅費、謝金は、全体の研究経費の90%を超えない。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 哺乳動物細胞におけるチューブリンアセチル化酵素の細胞内局在動態の可視化2013

    • 著者名/発表者名
      鈴木健史、中倉敬、萩原治夫
    • 雑誌名

      札幌医科大学 医療人育成センター紀要

      巻: 4 ページ: 11、15

    • 査読あり
  • [学会発表] 平滑筋細胞におけるアクチン凝集構造体ポドゾームの形態学的機能解析2013

    • 著者名/発表者名
      田中秀幸、萩原治夫
    • 学会等名
      第118回日本解剖学会総会・全国学術集会
    • 発表場所
      高松
    • 年月日
      20130328-20130330

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公開日: 2014-07-24  

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