研究課題/領域番号 |
24590262
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
相沢 信 日本大学, 医学部, 教授 (30202443)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 細胞分化・組織形成 / 造血微小環境 / ストローマ細胞 / 造血幹細胞 / 三次元骨髄培養法 |
研究概要 |
造血現象は造血幹細胞という「種」が、造血微小環境という「畑」において育つ過程を示すものである。本研究は「畑」である造血微小環境の構成要素としての「ストローマ細胞」に注目し、生体内(造血組織)における存在様式について、またこれら細胞が実際にどの様に造血幹細胞の増殖、分化に関わりを持って機能しているかをin vivo、さらに新規に開発した三次元培養法を用いたin vitroの両面から検討することにより造血制御機構を解明することを目的としている。平成24年度は研究実施計画に基づき、造血組織(骨髄・脾臓)におけるストローマ細胞の分布様式をストローマ細胞に特異的な抗体を用いた免疫組織学的に検討した。この際にストローマ細胞に障害を有することが報告されているsenescence-accelerated mice(SAM)を用いて比較検討を行ったが、SAMではストローマ細胞の造血組織内分布では有意の差は認めなかった。しかしながらストローマ細胞機能を各種サイトカインの産生、分泌あるいは接着因子発現を指標に検討した結果、明らかな障害性を見出し、ストローマ細胞が造血幹細胞の増殖・分化に重要な役割を担っていることが明らかとなった。さらにin vitroでの三次元培養システムを構築し、ストローマ細胞における造血関連遺伝子の発現を検討した結果、二次元培養と比較しストローマ細胞の活性化が確認され、三次元培養システムは生体における造血状態をより再現していることが確認された。事実、三次元培養において造血幹細胞の増殖・分化はより安定して観察することができ、その有用性が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記載した研究実施計画に沿って実験はほぼ予定通り進行しており、遅滞、変更等は現時点では特にない。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度研究実施計画に沿って以下の研究を行う。 1)三次元培養法を用いたストローマ細胞機能の評価 平成24年度研究で開発した造血系三次元培養法を用いて、正常、SAMマウスのストローマ細胞機能を比較評価する。この研究では、正常、SAM由来骨髄ストローマ細胞をそれぞれ三次元培養し、その造血幹細胞増殖、分化支持機能を造血幹細胞コロニー形成法、フローサイトメトリーにて継時的に評価する。さらに培養中のストローマ細胞を選択的に回収し、サイトカイン産生機能などを遺伝子発現あるいはタンパク量測定により客観的に評価することにより、障害の具体的解析が可能である。 2)移植実験を用いたストローマ細胞の造血支持機能の検討 SAMへ正常マウス由来造血幹細胞を移植し、造血状態の変動を検討する。SAMのストローマ細胞の造血支持機能に障害があれば、正常の造血幹細胞を移植しても造血状態は正常に回復しないことが予想される。さらにストローマ細胞の移植実験において、特異的抗体を結合した免疫磁気ビーズ法によりストローマ細胞をさらに分画し、特定の細胞のみを選択して移植し、造血状態の変化を比較観察する。これによりストローマ細胞を構成する個々の細胞について、造血支持機能の評価が可能である。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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