研究課題/領域番号 |
24590265
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
太田 啓介 久留米大学, 医学部, 准教授 (00258401)
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研究分担者 |
古賀 憲幸 久留米大学, 医学部, 講師 (30309851)
力丸 由起子(西由起子) 久留米大学, 医学部, 助教 (90368960)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 細胞接着 / 線維芽細胞 / マクロファージ / 皮膚 / ケロイド / 肥厚性瘢痕 |
研究概要 |
①Cell-Cellコンタクトと病態の関連について、Ratを用いた病態作製モデルについて検討を進めている。熱傷モデルおよび全層欠損モデルを作製し、免疫組織学的検討およびストラクトーム解析を行った。免疫組織学的にFibrobrast(FB)とMacrophage(MP)は正常皮膚において高いコンタクト率を見たが、一方病態モデルでは、その分布に違いが見られた。現在、この違いを統計的処理に基づく解析をすすめている。一方、FIB/SEMを用いたストラクトーム解析では、正常真皮の多くのMFが突起を持ち、且つFBに広い面積で接着する傾向がみられた。一方、肉芽組織では、細胞密度は正常組織よりも高いものの、細胞間コンタクトは比較的軽度であり、正常との分布様式の明かな違いを認めている。 ②CellーCellコンタクトの分子実体の解明:標的の推定を行うため、VitroにおけるFB/MPの共倍葉系を確立し、細胞同士のコンタクトの有無により遺伝子発現がどの様に変化するのかをDNA MicroArrayを用いて検討する。現時点でDAN ArrayのSetUpについて協力者を求め、準備が終わっている。細胞培養については、FB、MFそれぞれ個々の培養には一定の目処をつけ、現在、共培養条件の最適化を行っている。条件が整い次第発現解析を行う。 ③臨床材料について、H25年度計画の一部としてヒト病態における評価をおこなう。昨年、臨床倫理委員会の承諾を受け、実際のサンプル収集を開始している。現在、ケロイドと肥厚性瘢痕については5例づつの臨床サンプルが得られており、先行して計画を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
①Cell-Cellコンタクトと病態の関連について:免疫組織学的解析及びストラクトーム解析については順調に進んでいる。また、ヒト病態との関連につても、先行してサンプル収集・試料作製を進めており、当初の計画以上に進んでいる。 ②CellーCellコンタクトの分子実体の解明:現状は遅れている。本課題は1.培養系の確立、共培養系の最適化、3.発現解析と進んでいくが、現段階では2番目の共培養系の最適化の段階である。全体としてみると、上述の2つの実験が両立してこその本課題であり、やや遅れていると判断しなければならない。培養系の遅れの原因としては、一部テクニカルな問題によるコンタミネーションに繰り返し見舞われ、立ち上げ、その後の条件検討に時間を要したことにつきる。現在は、再立ち上げをおこない、遅れの挽回に努めている。
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今後の研究の推進方策 |
①組織学的解析については、順調に進んでおり、このまま、変更せずに推進する。 ②分子実体の把握については、上述の様に遅れが明らかである。そこで、今年度は培養系実験にてこ入れを行う。ストラクトーム解析については、昨年度より人的育成を図り、太田以外にもデータを取得できる体制が確立してきた。その分、太田のリソースを分子実体解明にむけてふり分け、遅れを取り戻す予定である。技術的な面で停滞することがないよう、分子生物系の研究グループにもアドバイザーとして協力を求めている。 以上を踏まえ、今年度は、ヒト正常組織と病態組織の違いを、FB/MFの分布と言う観点から、形態的に検討し、動物モデルで得られた状況との比較検討を行う。また、実体解明については、早期に共培養系を最適化し、トランスクリプトーム解析を行い、共培養により発現上昇が認められる接着関連分子について組織学的に検討をおこなう。特にトランスクリプトーム解析では、当初外部委託を予定していたが、遅れを生じないよう実際に同手法でデータをコンスタントに出している研究者に協力を要請し、迅速化を図る。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の研究では、1.臨床材料のストラクトーム解析と2.遺伝子発現解析の2点を行う。 1.前者は、FIB/SEMの消耗品費に500千円、3D観察解析に半年分の人件費600千円を計上する。 一方、遺伝子発現解析には、昨年度の残金、およそ600千を充てる。遺伝子発現解析の結果に基づき、免疫組織学的解析を進める。関係する抗体等の購入に280千円を充てる。ヒト病態組織の収集管理に関わる試薬、器具の購入に200千円をあて、本研究課題を遂行する。
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